天使たちの笑顔
レッド、皇帝、究極殿、ハイパーサバイバル神ゴロー、トマトちゃん、フルーツマンが見つめる中、クレナイとクールが互角の闘いを繰り広げていた。
「流石は破耶先輩……一筋縄じゃいかない!」
【エヴォリューション ブラスト】
「ワープ」
クールが姿を消した。
「何度もそうはいかないのだ」
【エヴォリューション ブラスト】
「ステルス」
クレナイの姿が消える。
「しまった」
攻撃をしようと現れたクールだが、クレナイが見えずに攻撃を外す。
【エヴォリューション ブラスト】
「コンバート! 」
隙をついたクレナイがクールに触れると、クールのBPが減っていく。
「……この!」
クールは応戦するが、攻撃はクレナイのマントを揺らした。
【ファイナル】
「仮面パンチ!」
「しまっ……」
ワープをしようとしたがBPが足らず、クレナイの攻撃を受けた。
【エヴォリューション ブラスト】
「終わりにするのだ」
クレナイは姿を消して、倒れるクールに近づく。
【エヴォリューション ブラスト】
クレナイがクールに触れて姿を現した。
「……コンバート、なのだ」
クールのHPが減っていく。
「僕には技を出す程のBPは残っていない。……この状況からの形勢逆転も思い付かない……。悔しいですが……負けました」
「うむ。七菜は強かったし、凄かった。ただ、わたしが少しだけ運が良かったのだ」
クレナイがクールから手を離した。
「クールが降参したのだ。わたしの勝ちで決まりで良いか?」
クレナイが皆に聞く。
「二人が納得したなら漢は構わないぜ。久しぶりに燃える闘いが観れて満足だ!」
レッドが言うと、ほかの者達も同意した。
「勝負が着いたようだね」
O.Dが現れた。
「うむ。皆も納得してくれたのだ」
「ならば……優勝はクレナイで決まりだね。それではクレナイに優勝アイテムを渡そうか」
O.Dはクレナイのアイテムリストに優勝アイテムを送った。
「楽しいゲームが観れて非常に良かったよ。ではこれにて、全国高校対抗戦を閉幕する」
O.Dがログアウトした。
「それじゃお別れだ、楽しかったよ」
皇帝が言う。
「名残惜しいな。結局、わたしだけではお主に敵わなかったのだ」
「こっちの方が運が良かっただけだよ、マスクド・クイーン!」
クレナイと皇帝が握手した。
「レッド!」
「……なんだ? トマトちゃん」
「今回はあんたに助けられた、ありがとう。今度から、ウチに出来ることが有ったら協力するわ」
「おう! 心強いぜ」
レッドとトマトちゃんがハイタッチした。
「究極殿。いつかリベンジさせてほしい!」
クールが言う。
「構わない。楽しみにしている」
「いつかは俺も再戦を願う」
ハイパーサバイバル神ゴローは、そう言い残すとログアウトした。
「では、さらばだ。……また会おう」
究極殿がログアウトした。
「……トマトちゃん、フルーツマン。よかったら実際に会わないか?」
レッドが提案する。
「オフ会か……いい提案だね」
皇帝が言った。
「だが、簡単に会える距離なのか?」
クールが訊く。
「……お互いの高校か……どうやら、グランドスタジアムが該当するみたいだね」
皇帝がレッド達のログイン場所を調べて言った。
「良いわね! 大賛成よ! グランドスタジアムなら電車で三十分だしね」
トマトちゃんが賛同する。
「僕も会いたいな~」
フルーツマンも言った。
「どうやら意見が一致したみたいだな」
クレナイが言う。
「確か……週末にグランドスタジアムで何かのイベントがあったような気がしたから……そこで会わないか?」
レッドの提案に皆が賛成した。
「それでは週末に」
皇帝がログアウトした。
「ウチ等も行くわね。週末、楽しみにしてるわよ!」
「またね~」
トマトちゃんとフルーツマンもログアウトした。
「さあ、わたし達も戻ろう」
レッド達もログアウトした。
※ ※ ※
「……夏郷! どうしたのだ!? 黒田派はどうしたのだ?」
マシンから出てきた破耶たちを夏郷、千景、新田、玲衣、愛生が出迎えた。
「心配するな。高校に紛れ込んでいた黒田派のヤツ等は全員、捕まえたよ」
「そうか。助かったぞ、夏郷!」
夏郷の言葉に破耶は安堵した。
「しかし最近のゲームは進んでるわよね~」
千景が感心する。
「やってみたらどうだ? 案外、はまっちゃうんじゃないか?」
新田が言う。
「勘弁よ。モニター越しに観てるだけでも疲れるんだもの。実際に意識がゲームに飛んだら余計に疲れるのが目に見えてるわよ」
「現実的なんだな」
「緋、七菜。残りの時間は自由行動なのだ。思う存分、新祝祭を楽しんでくるがいい」
「わかったぜ、破耶さん!」
緋は体育館を出た。
「お言葉に甘えさせてもらいます、先輩!」
七菜が緋を追った。
※ ※ ※
「待ってくれ、緋!」
「うん?」
「あれをしたい」
七菜が指を指す方向に、的あてが有った。
「ボールの的あてか~。やってみろよ」
七菜が的あてに挑戦する。
「すげー! 五球全部、真ん中に当てやがった!」
緋は感心した。
「ふー。スッキリした」
「良かったぜ!」
緋が七菜に冷えた缶ジュースを渡した。
「ありがとう」
七菜はゴクゴクと飲む。
「ぷはー! 一汗かいたあとのジュースは美味しい!」
七菜が満面の笑みを見せた。
「良い笑顔だぜ。七菜が眩しく見えるぞ!」
「からかうのはよしてくれ。けど言われて悪い気分じゃないさ」
七菜がジュースを飲み干した。
※ ※ ※
「今回は色々と悪かったな。千景、新田まで巻き込んだ」
破耶が謝罪した。
「そんなの今更よ。それに黒田の件は他人事じゃないもの」
「頼ってくれて嬉しかったよ!」
「まあいいじゃないか? 事なきを得たんだ、今日はご苦労様、破耶」
「うむ! こちらこそ助かったのだ! 夏郷」
破耶は満足気な笑顔を見せた。




