表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/70

大特訓

「いち、にい、さん、しい、ごー」


「……あ、あの~」


「何だレッド?」


「これラジオ体操だよね」


「それがどうしたのだ?」


オレは特訓を頼んだんだぜ?」


「まずは、何をするにも準備体操だ」


 レッドは渋々、ラジオ体操をする。


「クレナイと言ったか。君のレベルは65。Sヴァロンを倒せるのも頷けるが、レベル15のレッドに付き合うとは、どういう了見だ?」


「べつに企みはないぞ。ただ、強くなりたいと思っているレッドに興味が湧いたのだ」


「ふーん」


「お前はどうする。一緒に特訓をつけてやるぞ?」


「僕は結構。ただ、特訓の内容は気になるんで見させてもらいますが」


 クールは岩に座る。


「分かった」


 クレナイはリストを呼び出して、回数計を出した。


「何をすればいいんだ?」


「腕立て伏せをするのだ」


「腕立て?」


「わたしが回数を数える。レッドはギリギリまで腕立て伏せをするのだ」


「分かったゼエエ」


 レッドは腕立て伏せを始める。


「……29……30!」


 レッドが地面に伏せる。


「だらしがないぞ! レッド、強くなりたいなら根性みせるのだ!」


「勝手が違うんじゃ……」


「戦闘は平気で腕立て伏せはダメとは……。変わった奴だ」


 クレナイが辺りを見渡す。


「ならば、アレだ」


「岩?」


 クレナイが指さした場所に岩があった。


「まさかオレに岩を壊せと?」


「違うよ、レッド。おそらく……クレナイは岩を」


「待ってくれ。答えはレッドが出すのだ」


 クレナイは岩を見つめる。


「レッドは、あの岩をどう思う。砕くのに向いてるのか、動かすのに向いてるのか?」


「どういう意味だよ?」


「戦いは強くなれば有利だが、力を付けただけでは意味がない。時には頭脳も使わなければならないのだ。戦いは状況判断がものを言うぞ」


「頭を使うのは苦手だぜエエエ」


「だから特訓なのだ」


 クレナイがリストから砂時計を出す。


「この砂が落ちきるまでに決断をするのだ」


「砕くのが手っ取り早いよな」


「レッド、よく考えるんだ」


「クール?」


「多分、正解は無い。それでもレッドに選ぶように言うならば、何か意味があるだろう」


「うーん」


レッドは考える。どちらが正しいのかを。


「あと三分ほどだな」


「くっそオオオ!」


 レッドが頭を掻く。


「決めたのか?」


 クールが訊く。


「悩んでもしょうがねえ! おとこは突撃あるのみだぜエエエ!」


 レッドが岩に向かう。


【ファイナル】


「レッド・紅蓮斬!」


 レッドが背中から刀を引き出して岩を斬った。


「なるほどね」


「クレナイ、アレがオレの答えだ」


「うむ。自ら新たな答えを見つけだすとは見事だぞ、レッド!」


「えっへっへ」


「さて、特訓は終わりにしよう。お前も疲れただろう?」


「なんか……強くなった気がするぜエエ!」


「気のせいだよ……レベル15のレッド」


「てめえ、クール! 毎度のように馬鹿にしやがってエエエ」


「ホントのことだろう?」


【ログアウト】


「帰るのか?」


 クレナイが訊く。


「ええ。面白いものも見れたし」


「……レッド、クール……実際に会わないか?」


「クレナイ、何を唐突に!?」


 レッドが驚く。


「駄目か?」


「何処で会うんだよ?」


「三人のアクセスから近いのは……」


 クレナイが考える。


「喫茶トランプはどうだ?」


「近いぜ」


「了解」


 レッドとクールが同意した。


「では明日、同じ時間に」


 クレナイの号令で解散した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ