切り札
「くっ!……なんてことだ」
「上手くいった」
【アタック】
「じゃあね。究極殿」
※ ※ ※
「……開かないのだ!」
「開かないなら壊せば良いぜ!」
【アタック】
「レッド・紅蓮斬」
レッドが扉を壊した。
「なんだこれは!?」
クールが絶句した。
「塔の中は、こんなに滅茶苦茶なのか?」
皇帝も驚く。
「やっぱり引き返そうよ~」
「あんた男でしょ! ここは堂々と胸張って、塔の主のつもりでいなさいよ!」
トマトちゃんがフルーツマンの背中を押した。
「うわっ!?」
突然押された為、フルーツマンは倒れこんでしまう。
「おや~? お客さんかな」
二階から仮面タイプが顔を覗かせる。
「君は……キリフダー!」
クールが言った。
「残念だけど、アイテムはボクが頂いたよ」
キリフダーはアイテムをちらつかせた。
「遅かった!」
皇帝が悔しがる。
「おい! 究極殿はどうしたのだ?」
「彼ならゲームオーバーだ」
「君が究極殿を倒したのか?」
クールが訊く。
「それは違う。彼を倒したのは、ハイパーサバイバル神ゴローだよ」
「ちょっと!? それじゃあ、ハイパーゴローはどこに居んのよ!?」
トマトちゃんが訊く。
「ボクが倒したよ。まさか究極と神を倒せるなんて夢みたいだよ」
「……そんな~。そんなのに勝てっこないよ!」
「ばか! 男なら……怯えるな……」
トマトちゃんも怯える。
「でも不思議だぜ。アイテムが得られたんなら、ゲームは終了の筈だぜ?」
「まだ有るんじゃない? ……この塔の何処かに」
「じゃあ探させてもらうぜ!」
レッドが階段をかけ上がる。
「そうはさせないよ」
【アタック】
「ジョーカーナックル」
キリフダーの拳が床を撃ち砕いた。
「マジで!?」
レッドが一階に落下する。
「緋!!」
クールが寄る。
「大丈夫かい!?」
「漢には……こんぐらいの痛み!」
レッドは立ち上がる。
「アイテムはボクが全て貰うよ。邪魔をするのなら、皆……ボクが倒す!」
【アタック】
「ジョーカーナックル!」
キリフダーが衝撃波を放つ。
「このままじゃ~塔があ~」
「もう! あたふたしないでよ!」
【アタック】
「フィナーレ・ムーン」
皇帝が衝撃波を光の刃で相殺する。
「二人共、無事かな?」
「はい! ありがとうございます。皇帝さん!」
トマトちゃんがお礼を言った。
「うおー!」
レッドが瓦礫を利用して二階に昇る。
「しつこいよ」
「それが取り柄だからな」
【アタック】
「レッド・紅蓮斬!」
刀がキリフダーに当たる。
「早く決めなよ?」
「……どうして斬れねえ!?」
「話にならないよ」
キリフダーがレッドに蹴りを当てる。
「ぐは!!」
「お前のレベル、たったの15じゃん。よくここまでこれたね?」
「……レベルなんてのは……飾りだぜ」
「ミスターポジティブってとこ?」
【ファイナル】
「キリフダーストライク!」
キリフダーが分身して、飛び蹴りを放った。
「がはっ!」
「この技は必ず相手の体力を1残すんだよ。運が良いよ、お前」
「!」
「惜しいね。ボクの背後を狙ったのは良策だけど、ボクに対する殺気が消せてなかったよ」
クールは間合いをとる。
「……逃げろ七菜! やられる!」
「君は馬鹿かい? 僕はキリフダーと真っ向勝負する気はないさ。あくまで目的はアイテムさ」
【アイテム】
クールは、痺れ玉をキリフダーに当てた。
「くだらない時間稼ぎだ」
「言っていろ」
クールは、二階にある部屋の扉を全て壊して見てまわる。
「レッド、平気~?」
二階に上がってきたフルーツマンが、レッドの体力を回復させる。
「サンキュー!」
レッドが立ち上がった。
「ボクの身体の痺れも、もうすぐ切れるよ?」
「……ああ、そうかい」
【アタック】
「レッド・紅蓮斬!」
「フィナーレ・ムーン」
レッドと皇帝が同時に攻撃をキリフダーに仕掛けた。
「どうだい!」
「!?」
「皇帝と在ろう人が油断禁物だよ?」
皇帝が倒れこむ。
「皇帝!! ……キリフダー、何しやがった!?」
「ボクの身体の痺れは、お前と話しているときに切れていたんだよ」
「騙しやがったのか!」
「騙すも何も……作戦だよ」
「ぐっ!」
フルーツマンが倒れた。
「ハハハ! だから言っているのに。油断禁物だってさ?」
「そんな!?」
トマトちゃんがフルーツマンに近寄る。
「ごめん~……ね?」
フルーツマンのHPが0になった。
「……なんで……なんで!」
トマトちゃんが叫ぶ。
「回復技は厄介だからね。面倒を封じたまでだよ」
「……くっそー」
レッドが握りこぶしをつくる。
「これはゲームだからさあ……悪く思わないでよ?」
【アタック】
「お前たちも目障りだ」
キリフダーが衝撃波を放つ。
「危ない!」
「……何でだよ!?」
トマトちゃんが、キリフダーの攻撃からレッドを庇った。
「……正直さ、ここまで来れたのは、レッドが助けてくれたからよ……。でもね、もういいわ」
「トマトちゃん!?」
「ウチは……あの馬鹿が一緒じゃないと調子狂っちゃうんだ」
トマトちゃんの体力が0になり倒れた。
「すまねえ……漢なんかの為に!」
「あとは、お前たち三人か」
キリフダーは、下に居るクレナイを見る。
【アタック】
「厄介者は消えてもらう!」
キリフダーが、塔の天井を破壊する。
「破耶さん!!」
「無茶苦茶なのだ!!」
天井が崩れてクレナイに落下した。
「これで、あと二人」
「てめえにプライドは無いのかよ!」
「勝つためには手段は選ばない。それがボクのプライドかな?」
【アタック】
「ジョーカーナックル!」
キリフダーが拳を振りかざす。
【ファイナル】
「エンド・ナックル!!」
クールの拳がぶつかった。
「七菜!」
「緋、これを!」
クールがレッドにアイテムを渡した。
「邪魔だよ!」
「くぅぅ!?」
クールとキリフダーの拳がしなる。
「七菜!?」
「なっ……んだって!?」
クールが倒れた。
「七菜!!」
「馬鹿正直に、いつまでも拳を付き合わせてるわけないよ」
「……身体が……痺れて……動かない!」
「ヒントをくれたのはクールだよ?」
「あいつ。いつの間にアイテムリストから痺れ玉を!」
「さあ、ボクにアイテムを渡すんだ。そうすればクールにトドメは差さない」
「駄目だ……緋!」
「……けど、それじゃ七菜が!!」
「僕の苦労を……無駄にするな」
「七菜……」
「……お……い!?」
クールが宙を舞った。
「うるさいよ。ペラペラとさあ!」
「……クールのHPが0に!?」
「あーあ。いまの蹴りでギブなの?」
「よくも……よくも……よくもよくもよくも!!」
レッドの周囲に黒い霧が纏う。
「怒ってるの?」
「よくもオオオオオ!!」
レッドの身体が黒く染まる。
「まさか、デビルモード!?」
キリフダーが構える。
「斬る!!」
レッドが刀を振る。
「え!?」
キリフダーの左腕が地面に落ちた。




