遭遇
「まったく。緋は一体何を考えている!」
クールは洞窟を突き進んでいた。
「そんなカリカリしなくても、緋なら大丈夫なのだ」
クレナイも後を追う。
「……破耶先輩は良いんですよ。夏郷先輩は……そんな心配をしなくても平気ですし」
「……そういうことか。七菜はトマトちゃんを助けに行った緋が心配なのだな?」
「心配は心配……けど、それだけじゃ……」
クールは立ち止まる。
「トマトちゃんが女子だからか?」
「ええ」
「心配は要らないのだ。あいつの辞書に裏切りという言葉は無いのだ」
クレナイが助言する。
「そうですよね。僕、緋が助けに行ったことが納得出来なかったのかも」
「まあ、普通ならライバルは少ない方が有利になるからな。……けど、緋のそういうところに惹かれたのだろ?」
「そうでした」
クールは頬を叩いた。
「洞窟を抜けるぞ!」
「はい!」
二人は洞窟を一気に抜けた。
「……!?」
「おや? これはマスクド・クイーン。こんなところで会うとは」
「皇帝こそ……、究極殿と一緒に行動とは意外なのだが?」
「そうかい? 偶々、利害が一致しただけだけど」
「……わたし達を見逃す気は無いか?」
「うーん……。むしろここで強者を減らしたいかな」
皇帝が剣を抜く。
「出来れば避けたかったが……」
クレナイも戦闘体勢になる。
「破……クレナイ。助けは要るか?」
「大丈夫だ。それに、そんな暇も無いだろう」
クレナイは皇帝の後ろに居た究極殿が塔に向かって走るのを見逃さなかった。
「させない!」
クールも走り出した。
「やれやれ。それぞれ相方は居なくなったね」
「そのようなのだ」
森に風が吹く。
「参る!」
皇帝が剣を振る。
「速い!」
クレナイは、間一髪避けた。
「……避けたんだ」
【アタック】
「フィナーレ・ムーン」
クレナイの周りに三日月型の光の刃が現れる。
「うわああっ!!」
クレナイに光の刃が降り注いだ。
※ ※ ※
「大丈夫か?」
「心配要らないよ。ウチはね」
レッドとトマトちゃんの後ろをフルーツマンが息を切らしながら付いてくる。
「はあ……はあ……。もう休もーよ」
「だらしない! 男なら根性みせなさい!」
「……そんなこと言ったって~」
「なっ……何よ!? 今の音は!!」
トマトちゃんが近くの木に掴まる。
「……塔の方角から聞こえたぜ。漢は行くけど、お前たちはどうする?」
「ウチは行くに決まってるわよ! 目的地は塔なんだもん」
「……行くよ~。一人で居るよりも安全だから~」
「決まりだな。行くぜ!」
レッド達は塔に向かっていった。
※ ※ ※
「まだ立つか」
「……僕は……負けられない!」
「その心意気、見事だ」
【アタック 】
「究極豪炎」
豪炎がクールを包み込む。
「ああああ!!」
「降参しろ。HPが0になったら、あとが辛い」
「……負けられない……負けたくない……」
「仕方がないな」
炎が強まる。
「きゃあああ!!」
クールは倒れこんだ。
「残り体力は虫の息だ。もう退け」
究極殿が塔に入った。
(僕は……緋のために……力になりたい)
「……あ……か。ごめん……」
クールは気を失った。




