目指す場所
「ヴァロン退治は終わったぜ!」
レッドは誇らしげに言った。
「O.D. よ。次のステージはなんなのだ?」
「あの森の先に在る塔の頂上に行くことが次の勝負としよう」
O.D.が、森の先に指を差す。
「……冗談キツいぜ、O.D.さんよ。彼処まで辿り着く迄に新祝祭が終わっちまう」
「心配は無用だよ、途中で移動手段がある。新祝祭の終了までには着くはずだよ」
「塔へ先に着いた者が勝者ということか?」
クールが訊く。
「正確には、塔にあるアイテムを先に得た者が勝者だけどね」
O.D.が答えた。
「面白い」
「流石は皇帝。随分な余裕なのだな」
「そなたこそ、かなりの余裕と思われるが?」
「皇帝に言われるとはな。光栄なのだ」
「こちらこそ、マスクド・クイーンに言われたのは光栄だね」
皇帝は両手を叩いた。
「さあさあ始めよう、時間無いんだろ?」
究極殿が言う。
「そのようだね。では皆さん準備は良いかい?」
O.D.が訊く。
「漢は覚悟を決めたぜ!」
「……では開始としよう」
※ ※ ※
「何をしているんだい?……究極殿」
「皇帝が俺に用か?」
「お互いに目指す場所は同じなんだ。行動を共に出来ないかい?」
「アイテムの権利はどっちになるんだ」
「……決まってる、でしょ?」
皇帝が手を差し出す。
「良いだろ」
究極殿が手をとった。
※ ※ ※
「……究極殿、皇帝、キリフダーの仮面タイプ三人に……ハイパーサバイバル神ゴロー、フルーツマン、トマトちゃんのヒーロータイプが三人」
クレナイがメモをとっている。
「どうしたの破耶さん?」
「必ず何処かで、この六人の内の誰かに会うはずなのだ。念のために対策をな」
「ふーん。……で、七菜は?」
「座って休んでいるのだ」
「座ってる?」
レッドは、クールの所に行く。
「なんだい。僕は森の音を聴いてるんだが?」
「てっきり鍛練でもしてるかと思ってたぜ」
「僕は君と違って必要以上には動かない」
「そうなのか」
レッドも座る。
「緋。ゲームの中ではコードネームじゃなかったのか?」
「それだと他所よそしいって思ってよ」
「まあ、どう呼ばれようが構わないけど」
「……なあ七菜、人生の相棒ってよ、つまり……どういう意味なんだ?」
「はあ!? 君は意味も分からずに同意したのか!?」
「……何て言うか……確認だ」
「……まったく。……僕がどれだけの勇気を振り絞って言ったのか判ってるのか?」
「……だから確認だ!」
「……僕は緋のことが好きになったんだ。……って……これなら遠回しに言うんじゃなかった」
クールは頭を掻いた。
「よし! 確認完了!」
レッドは立ち上がった。
「仮想世界だから言えたのかも」
「けど、漢たちの想いは現実だぜ」
レッドが手を差し出す。
「まあね」
クールが手をとって立ち上がった。
「二人共、そろそろ行くのだ!」
クレナイが声を掛け出発した。




