その名はクレナイ
【了解】
緋が仮想世界に意識を飛ばす。
※ ※ ※
「今日も暴れるぜエエエ」
レッドが目指した場所は、ヴァロンが複数体生息している岩場だった。
「やっぱヒーローっていやあ特訓だぜ!」
「ギャアア」
レッドの前にヴァロンが現れる。
「現れたか……待ちわびたぜ!」
「ギャアア!」
ヴァロンが巨大な尻尾を振り回す。
「あぶな!?」
レッドが、後ろからきた尻尾に気づかずに、尻尾で背中を叩かれる。
「いてー!」
レッドの身体が地面に打ち付けられる。
「漢の身体が砂ぼこりで!?」
「ギャアアア」
「よくも漢の身体を汚してくれたな!」
「地面を揺らそうって魂胆は丸わかりだ!」
【カウンター】
レッドが空中を舞いながらヴァロンを刀で斬りつける。
「前のよりも身体が固くなってる!?」
「グウウ……ギャア!」
「グゥッ!」
レッドがタックルを受けてよろける。
「……のお!」
【カウンター】
レッドが刀で斬撃を飛ばす。
「ギャアアア!?」
ヴァロンが怯む。
「おっしゃー。漢のトドメだぜエエエ」
「待て」
「クール!? いつの間に」
「君は何故いつも相手のレベルを調べない」
「だから、レベルなんてモンは飾りだ」
「あのヴァロンはSだ」
「はあ?」
「S……シークレットタイプ。かなりの低確率で現れる稀少獣だな」
ヴァロンが咆哮を放つ。
「やば!」
レッドとクールは避けたが、咆哮が当たった岩場はポッカリと削られていた。
「悔しいが譲ってやる。クール、あいつを倒せ!」
「無理だ。Sの推奨レベルは60。僕のレベルは45で下回っている」
「んなもん気合いで!?」
「気合いでどうにかなるなら、誰も強くなろうとは思わない」
ヴァロンが咆哮を放つ。
「駄目だ……間に合わない!」
クールが覚悟する。
【ファイナル】
「仮面キック」
「ギャアアア!」
攻撃を受けてヴァロンが倒れこみ、咆哮が反れる。
「……危なかったぜエエエ……」
「いったい誰なんだ!?」
二人の元に近づいてくる。
「無事だな」
「助かったぜエエエ。サンキュー!」
レッドが握手を求める。
「うむ。無事でなによりだ」
「漢はレッドだ」
「わたしは、クレナイだ」
レッドとクレナイは握手を交わした。
「強いな、君」
「どんな相手でも弱腰になったら敗けなのだ。Sが相手でもな」
「一理あるな」
クールが言った。
「では、わたしはこれで」
「待ってくれ!」
「?」
「特訓してくれ!」
「ほう」
「おいレッド!?」
「構わぬのだ」
「本当か!?」
「特訓に付き合ってやろう……クレナイ式でな」
クレナイの目が光った。




