ゼロスト×ロードバスターズ×仮面英雄伝 闘 ーREAL大戦ー Ⅹ
【アタック】
「ゼンブ……消えろおおお!!」
キイラが刀で攻撃した。
「黒い紅蓮斬ってか」
【アタック】
「紅蓮斬は……漢の専売特許だぜエエ!」
レッドの刀とキイラの刀がぶつかり合う。
「ナゼ……オマエはジャマスル!?」
「いつまでも現実から逃げてる奴が、野望のためにゲームを利用した。それが気に食わねえから邪魔してんだよ!」
「オマエはカナエタイ夢がナイノカ!?」
「……ある。いっぱい有るよ。ゲームの再開も、これからの人生での事も!」
「ゲンジツにキボウはナイ!」
「勝手に決めつけんな! 少なくとも漢は現実に希望を持ってる!」
レッドの刀がつばぜり合いを制す。
「ナンダト!?」
「済まねえ……」
レッドが峰打ちをした。
「グッ!」
キイラがうずくまる。
「ひとつ訊きたい。お前が現実に絶望している理由は何だ?」
「……ワタシには家族が居ない。友も、恋人も、恩師と言える人も」
「常に孤独だったのか」
「ようやく出逢えた人もワタシと関わったことでひどい目に遭った。ワタシは不幸を持って生まれたのだ……自分が憎くて仕方がない!」
キイラを再び闇が包む。
「負けんじゃねえ! 勝手に自分で完結すんな……お前は完全に世の中に絶望なんかしてないんだ!」
「……ワタシは……ウワアアア!?」
キイラが苦しみだす。
「破耶さん、準備出来たぜ!」
ムロが言った。
「そうか」
「キイラ!!」
「……ライズ!? 覚ましてたのか」
ライズがキイラを押さえる。
「トドメを頼む。キイラを助けてくれ」
「……当然だぜ」
レッドがムロに合図する。
「神聖な判決!」
ムロが光の光線を放つ。
「ぐぅぅ……これで……キイラは……」
「ヤメロー!!」
ムロの攻撃によってキイラの姿が元に戻る。
「ライズが消えた!?」
ミカノが言う。
「キイラの気持ちが晴れたのかもな」
ムロが言った。
「少しは落ち着いたか?」
レッドが手を差し出す。
「ワタシは……」
辺りの様子が元に戻っていく。
「姿が戻ったのだ」
「キイラの力が消えたからか」
七菜が言う。
「そんじゃ、壊れた校舎を直しに戻るか」
ムロの号令で高校に戻った。
※ ※ ※
「あれー!?」
舎は綺麗に再生されていた。
「ライズが消滅したからなのか?」
破耶が訊く。
「よくは判らんが元に戻ったんなら、それでいいさ」
夏郷が言った。
「ところでミカノ、移動させた皆を喚ばないと」
「そうだった!?」
ムロに言われて慌てて移動させた皆を喚んだ。
「酷いじゃないかい、ミカノ!?」
「あはは……ごめんねセリオ!」
ミカノが笑いながらセリオに謝る。
「いーね、いーね。やっぱり美少女は笑顔が一番だ!」
「悪かったわね。美少女じゃなくて!」
「やきもち妬いてんのか、千景?」
「誰が新田に妬くか!」
顔を赤らめながら千景が新田を叩いた。
「ワタシは……どうなるんだ?」
「ハッキングした事実は変わらん。その罪は償われねばならないのだ」
「罪を憎んで人を憎まずだ。懺悔が済んだら、一緒にゲームをやろうぜ」
「なんとか終わったけど、結局ライズは捕まえられなかったわね」
「もういいさ。奴は奴の罪を償ったからな」
「さあて……ムロ、ミカノ、セリオ、アン……帰るぞ」
「んだよ、もう帰るのか?」
「追っていたライズは、もう居ないんだ。クラッティスに行かないと所長も心配する」
「残念だけど正論だね」
「しゃあない……ミカノ、頼むわ」
「うん……」
ミカノが残念がる。
「また何時でも来れば良いのだ」
「ミカノちゃんなら、僕は歓迎するよ」
「そう言ってもらえると嬉しいわ!」
ミカノが笑顔になった。
「そんじゃあな……夏郷、緋」
「ムロ。素っ気ないぜ!?」
「ムロはいつもこんな感じだよ。前もな」
ミカノの指輪が光だす。
「色々とありがとうございました!」
「それはこっちの台詞よ、セリオ君。色々助かったわ」
「あの~……スリの件、ありがとう」
愛生がお礼を言った。
「当然のことをしたまでさ」
「愛生に会いに何時でも来なさい」
「もー、千景さん!」
「キイラ。オレは何人もの敵を倒してきた。けど、どれも苦い戦いだった……今回のライズとお前との戦いもだ。誰もが現実に満足してる訳じゃない。それでも生きていかなければならないんだ」
「君が生きようとすれば、必ず結果が出るはずだ。辛い現実なら、君が変わることが近道だと俺は思うよ」
「全ては……自分次第、か」
キイラの言葉を聞き届け、ムロは仲間と共に帰っていった。
「立てるか?」
緋が手を差し出す。
「その手を掴むことから始めるわ」
キイラが手を掴んだ。
「良い笑顔だぜ」
「ワタシが好みなの?」
「そういう意味じゃないから!?」
「そう……。ちょっと残念」
「緋。キイラの事は生徒会や教師に任せて、僕たちは教室に戻ろう」
「そうだな」
緋が歩きだす。
「緋!」
キイラが呼び止める。
「何だ?」
「……ワタシを救ってくれて、ありがとう」
キイラが駆け寄り、緋の頬にキスをした。
「あわわわわ!?」
緋が赤くなる。
「ワタシの気持ちよ」
キイラが、高校の教師の元に向かった。
「……行くよ!」
「待ってくれ!?」
緋が七菜の後についていった。
※ ※ ※
「ご卒業、おめでとうございます」
翌日、前日の騒ぎが嘘かのように、高校で卒業式が執り行われた。
「さあ、遠慮せずに食べな!」
卒業式後、破耶の両親の店である蕎麦屋を貸しきりで生徒会のお別れ会が開かれていた。
「大袈裟ね。別に会えなくなる訳じゃないのに」
「もう高校生の千景には会えんのだ」
「おれも含めると一気に四人も生徒会から居なくなるのか」
「なーに……当てはあるのだ」
破耶は、隣で座る緋と七菜を見る。
「え!? 漢たちが生徒会に?」
「僕らには務まりませんよ!?」
「わたしは緋と七菜に来てほしいのだ」
破耶の目に輝きが宿っている。
「漢で良いなら……入ります」
「破耶先輩に誘われたら断れませんね」
「ありがとう!!」
破耶が二人の手を握った。
その日は、生徒会にとって忘れられない日となったのだった。




