ゼロスト×ロードバスターズ×仮面英雄伝 闘 ーREAL大戦ー Ⅸ
「観念しなぁぁ!」
「逃げ場は無いぜ!」
「……面倒な奴等だ」
カズマとアンがビルの屋上で、ある男を追い詰めていた。
「面倒にしたのはテメエだろぉぉ。人様の持ち物をスリやがってぇよぅ」
「辺りをキョロキョロしてた奴が悪いんだ! それを二人掛かりで寄って集りやがって!」
「飛び降りるのか? 情けないな。勇気をそんな事にしか使えないなんてな」
「……後悔しろ……自分たちが追い込んで飛び降りた男が犯した罪が、たかがスリだったことを!」
男が背中から飛び降りた。
「はーい、キャッチ!」
「上手くいったわね。セリオ君」
「いえ。千景さんの助言が有ってこそです」
「おーい……おれも手伝ったよな!?」
「あんたは私に協力するのが当然でしょ!? 感謝とかは二の次よ」
「ひでーな、それでも彼女かよ!?」
「バカね……。彼女だからよ」
新田にそう言うと、千景はシートに落下した男の元に寄っていった。
「……俺は生きてるのか!?」
「スリをして追い詰められて自殺した、なんて、シャレにならないでしょ?」
「捕った物を返してよ。あとは警察が貴方に話を聴くはずだから」
セリオはクラッティス警察統一所に連絡をすると、スリの被害に遭った愛生に詫びをいれた。
「謝らないでください。注意を怠ったこっちにも非があるんですから」
「あらら~。愛生、もしかしてセリオ君に気でもあるの?」
「そんなんじゃないですよ!?」
「愛生ちゃんに悪いですよ、千景さん!?」
「そう? まあ、生徒会の看板娘を簡単に渡すわけにはいかないけどね」
「千景さん!」
セリオが顔を赤くした。
※ ※ ※
【上手くいったよ、カズマ】
「しかし驚いたな。お前の、男を追い詰めようって作戦も……千景さんの、なんなら落として受け止めようって作戦も」
【アンにもお礼を伝えておくれよ?】
「分かってるさ。んじゃ、降りるよ」
カズマがケータイを切った。
「アン、降りるぞ?」
「ちょろかったなぁぁ、歯応え無かったしよ」
「協力、助かった……ってセリオが言ってた」
「セリオなら直接言うだろ?」
「……助かったぞ!」
「へへっ!カズマから礼の言葉を聞けたゼェェ」
アンが喜んだ。
※ ※ ※
「奏、あれ……気のせいかな?」
「玲衣も気がついた? あの建物、なんか伸びてない?」
二人の視線の先には、ライズによって壊されていたクラッティス・タワーが元に戻っていく様子が映っていた。
「どういうことだい!?」
セリオが言う。
「……夏郷たちに何かあったのかもな」
新田が真剣な眼差しでクラッティス・タワーを見ながら言った。
「大丈夫よ。夏郷君ならきっとね」
「ムロも一緒だ。俺たちは信じていればいい」
ビルから降りてきたカズマが言った。
※ ※ ※
「おいおい……冗談じゃねえぜ!」
「否定する……現実を否定する!」
「ムロ!」
「……追い付かねえ」
キイラの爆発を防ぐのに精一杯のムロを夏郷が庇うが、治療が追い付かないでいた。
「レッド・紅蓮斬」
レッドが刀を振るうがダメージを与えられない。
「これなら」
クールもヴァロンを倒した拳を見舞うが通用しない。
「否定否定否定否定否定!!」
「ぐはあーーー!?」
「うっ!!」
キイラの拳がレッドとクールを吹き飛ばした。
「二人共!!」
「駄目だ……破耶さん。巻き添えをくらうぞ!」
「「変身」」
破耶がクレナイになった。
「……破耶先輩」
「後輩ばかりに辛い思いはさせられないのだ。だが、わたしだけではムリだ、援護を頼む」
「了解したぜ! 破耶……クレナイ!」
「加勢します!」
レッドとクールが立ち上がる。
「ムロ。回復はもういいのだ。その代わり、協力な一撃を頼むのだ!」
「……了解だ。夏郷、時間稼ぎを頼めるか?」
「五分だ……それで良いか?」
「構わないぜ」
ムロが精神を集中させる。
「いくぞ! レッド、クール!」
クレナイの号令でレッドとクールが突撃する。
「現実を拒絶する!」
キイラが反応した。




