ゼロスト×ロードバスターズ×仮面英雄伝 闘 ーREAL大戦ー Ⅵ
「動かないなら、それまでの奴だった……ということだ」
ライズがムロに手を向ける。
「……万事休す、か……」
「せめて苦しまずに逝かせてやろう」
ライズが光線を放った。
「……」
右腕に備わる剣を盾代わりにムロが光線を受ける。
(くっ!!……)
ムロが圧されていく。
「ライズ! いい気になるなよ!」
緋がアイテムを使った。
「何のつもりだ」
フワフワと無重力空間を漂いながら、アイテムが光を放った。
「どうなっている!?」
「……草原に変わった!?」
夏郷が言った。
「ムロ君!」
緋が叫んだ。
「何だか分かんねえけど……サンキュー!」
ムロがテレポートでライズの背後に移動した。
「……!」
ライズが間一髪、振り向く。
「安心しろよ、後ろから攻撃なんかしねえから。それとも脅ってるのか?」
「脅しのつもりか。我は自由に空間を創れるのだ」
ライズが指を鳴らす。
「……どうしたよ?」
ムロが言う。
「何故だ!? ……何故変わらんのだ!」
「さっきのフィールドや宇宙のフィールドも、ゲームから得た情報なんだろ!」
「だったら何だというのだ」
「漢が使ったのは、ゲームでも貴重なアイテムで、制限時間が過ぎるまで出れない空間を作り出す効果が有るんだ」
「小細工を!」
ライズが緋に光線を放つ。
「させるか!」
ムロがテレポートで緋の前に移動した。
「ホーリー……」
「甘い!」
ライズがムロの前に移動し、至近距離で光線を放った。
「な!?」
ムロが光線をモロにくらい、後ろに居る緋共々、空間ギリギリまで圧された。
「……うっはあ!?」
ムロが吐血した。
「ムロ!」
夏郷が走ってくる。
「行かせるはず……なかろう」
「!?」
夏郷が刀でライズの蹴りを防いだ。
「刀で防いだか」
ライズの足から血が流れ出る。
「俺も、お前を二人の元に行かせるわけにはいかなくてね!」
夏郷が更に刀でライズの足を切りつけた。
「ぬぅぅぅ!!」
ライズが足を押さえながらしゃがみこむ。
「……教えろ。破耶達は何処に居る!」
夏郷がライズの首に刀を突き付けながら訊く。
「言ったはずだ……キイラの部屋だと!」
「じゃあ、そのキイラの部屋まで案内しろ!」
「無理だ」
「お前、自分の首に何が向いてるのか解ってるのか!」
夏郷が声を荒げる。
「……キイラの部屋はゲームの中に在る」
「どういう意味だ?」
「世界の創造は彼女の願いだ。彼女の望む世界にゲームの世界はピッタリだった。だから現実を破壊し、ゲームという世界を創るのだ」
「もしかして、現実にゲームの世界を構築するのが、お前にとっての創造なのか!?」
「そうだ」
ライズが倒れこんだ。
※ ※ ※
「良かった!」
「あれ!? 傷が治ってる」
ムロが傷が治っているのに驚いている。
「アイテムに傷薬が有って良かったぜエエ!」
「……さっきの光とか、この空間もお前が?」
「えへへ」
緋が照れ笑いを見せた。
「二人共、無事か?」
「緋が助けてくれたからな」
「緋、頼みがあるんだ」
「何ですか? 夏郷さん」
「君が、破耶達とやっているゲームで、城が在ったりする場所は無いか?」
「在りますよ?」
「どうした夏郷」
「破耶たちを連れていったキイラは城に憧れているらしい。ライズから聞いたんだ」
夏郷が倒れこんでいるライズを指さしながら言った。
「もう傷薬無いですよ!」
緋が慌てる。
「オレが治す」
ムロがライズを治療する。
「夏郷さん、城の場所を聞いてたけど、どの城ですか?」
「複数在るのか!?」
「単に居場所を探るならチームを組んでるんで調べられるけど」
緋が居場所を調べる。
「……判った! 意外に近いですよ!」
「なら行こう。ムロは平気か?」
「問題ないぜ夏郷。……ただ、空間を呼び出したら自分の意志じゃ消せないらしい」
ムロがライズを肩に担ぎながら言った。
「どんどん景色が現実離れしてるな。キイラも空間を造れるのか?」
「それならライズのしてきた行為は無意味に近いんじゃねえか?」
「キイラに全てを訊こう。緋、道案内を頼む」
「了解しました、夏郷さん! ムロ! 行くぜ」
緋を先頭に、城に向かって歩き出した。




