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シンキング・ウォーズ  作者: まるマル太
第5章 ぶつかり合う思想・・・終わらぬ"思想対立"
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★第28話★ 決心

★第28話★ 「決心」




中止になったRSWリアル・シンギング・ウォーズから既に6日が経過していた。

それは・・・自分の母親が亡くなってから6日とも取れる。


母親は2ヵ月くらい前から

会社が忙しくなったという事を何度も口にしていた。

ちょうど、珍しく茶葉を切らした時ぐらいからだった。

母親からは会社での昇格が原因だと聞いていたが、

先日それは嘘であった事が分かった。

すべては家庭を保つため、

片親で俺を育てるために、進んで残業を繰り返していたらしい。


葬儀は既に終わり、俺は祖父母の家に引き取られる事になった。

しかし、祖父母の家はここから遠い長野県だから、

向こうの高校の編入試験を受け、

3年生に上がる時にこの岩手からは去る事になった。

と、いうのがここ数日で決まった事である。

つまりこの2年生のうちは

こちらでひとり暮らしをする事になった。


今も昼休みに食べる自前の弁当を作っていたところだ。

料理は母の生前にもちょくちょく手伝っていたから、

まったくの初心者という訳ではない。


そして、何も言わずに黒いリュックと弁当袋を持って玄関を出る。

・・・これまで何気なく言っていた「行ってきます」は、

言えなくなってから初めて、言えない事に不満を感じた。






俺の家から学校までは徒歩で10分程度だ。

他の生徒達と比べても近いのではないだろうか。


通学路には特に目ぼしい景観などはない。

強いて言えば、季節によって生えている植物が違う、

といった平凡な事ぐらいだろうか。

何かしら考え事をしているうちに、いつも気が付けば到着している。

今日も変わらず。



そして見えてきたのが北川高等学校。

この岩手県でここ数年間、偏差値第一位を誇る高校だ。

俺はここで学校生活を楽しむ気など無く、

ひたすら大学進学のための勉強をする気でいた。

そのためにこのような高校を選んだのは当然と言える。

だが・・・それも無意味だった。




・・・そして階段を3階まで上り、俺のクラス2年E組へと入る。

左手の腕時計を確認すると、7時30分だ。

登校時刻は8時となっているから、俺の登校は相当早い事になる。

・・・俺は騒音というものを最も不快に感じる。

自分に関係無いのに大声で騒がれると、

それだけでその人間に酷い嫌悪感を持つ。

それ故、この朝早い教室という、静寂な空間を毎朝見るのは心地良い。

毎朝、登校時刻より30分も早く登校するのはそのためだ。


ただ、俺以外の人間が全く居ないという訳ではない。




俺が来ると、必ず1人、とある女子が既に教室内にいる。


澄田すみだ 麗華れいか

ロングヘアーで体格は小柄という、普通のよくいる女子だが、

彼女特有の能力を持っている。

そう電子機器類の画面を見るだけで

数分間性格が凶暴化し、本音が出てくるようになる。

普段は物静かな様子だが、

彼女は彼女なりの強い意志を持っている。


「あ、おはようございます!」

俺が澄田すみだの席の隣に着くと、彼女が笑顔で挨拶をしてきた。

彼女はこの2ヵ月で随分と変わったものだ。

最近は以前のような小さい声で話すのはやめたようで、

クラスメートの女子とも不通に話しているのを見る機会が増えた。


「澄田、おはよう。」

俺がそう言うと、澄田の笑顔が少し歪む。


「・・・龍星は・・・私の事を下の名前で呼んでくれてましたよね?

 何で最近は苗字の方になったんですか?」

「それは俺の勝手だろ。」

俺にはその自覚があったが、

名前の呼び方なんてものは個々人で違っていて良い。

しかも俺は無意識にそうなってしまうのだから

仕方がないだろう。


「・・・龍星の人の呼び方は特徴があるんです。

 たぶん、距離がそこそこ近いっていう認識の人は名前で呼ぶし、

 違う人は苗字で呼ぶ。

 今まで見ていてそうでした。

 ・・・やっぱり私とは距離を開けたいんですか?」

コイツは2か月前と比べたら、随分と積極的になったものだ。

クラスの誰とも喋らないで一人でいたヤツが、

まさか人に意見してくるようになるとは。

そして、彼女をこのように変えてしまったあの事件には、

俺が深く関わっている事は間違いない。

喜ぶべきなのか、悔やむべきなのか・・・。

ただ俺は・・・。


「距離がどうのこうのは知らない。

 でも、お前には生きていてもらいたい。」

俺は澄田の目をまっすぐに見てそう言うと、

彼女は驚くように目を開いた後、首をかしげた。

俺の唐突なその言葉に戸惑うのも無理はないか。

俺はそのまま自分の席に着き、スマホを取り出した。

俺には・・・シンギング・ウォーズの特訓がある。























―――――その日の夕方、アブソリュート・アーツ社では―――――




「伊集院さん、次回開催予定のRSWリアル・シンギング・ウォーズ栃木大会ですが、

 やはり今回は開催を見送るべきだと思います。」

私の机のすぐ横に立った蔭山かげやまが切り出す。


「エクソルチスムスの残党は、

 残念ながら規模も分からなければその拠点も不明なままです。

 このまま次回も開催したとなると標的にされるのは明白な事です。」

「それに異論はない。

 シンギング・ウォーズをより持たせるためにも、

 今は抑制が大事だろう。」

私はそう言い、デスクのPCへと向かった。


「・・・それと、蔭山かげやま

 お前は私に何か隠しているように見えるのだが?」

私が小声でそう言うと、彼は瞬時に目を見開き、

すぐに視線を室内の窓へと逸らした。


「まぁ、検討は付いているがな。」

「・・・ここで、その話をして良いのですか?」

蔭山は腰を折り私の耳元で囁く。

室内では途切れないタイピング音が響いている。


「さすがに場所が悪かろう。屋上へと行くか。」






―――5分後―――




「それで、何の話だ?」

「私は・・・伊集院さんの目的を・・・知ってしまいました。」

アブソリュート・アーツ社の屋上には、

社員たちが休憩できるようにベンチが設置してあり、

木の手入れもされているためにまるでそこは広々とした空中庭園だ。

春には花壇に花が咲き誇る。


「やはりあの時か。

 私としても油断し過ぎていたようだ。

 まさか処刑リストファイルの入ったUSBをデスクに置き忘れるとは。

 まぁ、それを見られるとも思っていなかったが。」

屋上には伊集院と蔭山以外はいない。

午後4時ちょっと過ぎという皆が勤務中の時間のために、

休憩で屋上を訪れる人はいないからだ。


「それを見ようと思い立ったのには理由があります・・・。

 シンギング・ウォーズ中であなたと戦った者たちが

 翌日、謎の死を遂げている情報を掴んだためです。

 その数、私の調査だけでも30人弱。

 ・・・一体、あなたは何をしようとしているのですか。」

蔭山がそう言うと、12月の冷たい風がビルの上の2人を撫でた。


「私の当初の目的を果たす、それだけの話だ。

 この社会に不要なゴミを抹殺する。」

「では、あのUSBで示されていた『DSW』とは何ですか?

 その殺人の道具なのでしょう?」

「デストラクション・サウンド・ウェーブ。

 かれこれ6年前に私が発見した

 シンギング・ウォーズを超える大発明だ。」

伊集院は視線を逸らさず、真顔で蔭山の問いに答える。


「・・・ならばあなたは、その殺人計画のために

 この会社の者たちを、私を、ずっと利用してきたというのですか?」

蔭山の声量が増す。


「悪く言えばそうなるだろうが、心配する事は無い。

 その恩恵はきちんとお前たちへと帰ってくる。」

そう言い、伊集院は早くも屋上の出口となるドアへと向かって歩き始めた。


「待ってください、まだその行動の動機も何も聞いていない!」

「口外したければ勝手にするが良い。

 お前の安全は保障するが、私としても手はあるのでな。」

伊集院はそう言い残し、静かにドアへと入っていった。


「私は・・・私は・・・殺人犯の手伝いをしてきたというのか・・・。」

蔭山はコンクリートに膝を落とし、

そのまま両手の拳を同時に地へと叩き付けた。


・・・あの方になら、自分の能力を譲与する価値があると思っていた。

ある日、突然シンギング・ウォーズとEXTREMEを持ち込んできたあの方に、

私は自分が持つすべての力を貸す決心をした。

それなのに、私は裏切られた。

まんまと利用されていたのだった。

あれほどまで信用していた人間に、ずっと騙されていた。

俺は・・・これからどうすれば良い。






















―――――その頃、岩手では―――――




「あ、龍星!」

6時間目の授業が終了し、即座に帰ろうと教室を出ると、

廊下をこちらに近付いてくる瑠璃川の姿があった。

6時間目の化学の授業中に保健室に行っていたが、

ようやく今帰ってきたという事だ。


「何の用だ?」

瑠璃川は車いすに座っている。

6日前の発作の影響により手足が麻痺しているため、

昨日から車いすで生活をしているのを見た。

それまで彼女は今週ずっと学校を休んでいた。

今は1人で保健室から帰ってきたようだから、

手の調子は良くなってきたのだろうか。


「この間はありがとう。

 龍星が早く助けてくれなかったら危なかったって

 お医者さんに言われたんだ。

 龍星みたいな友達を持った事を本当にありがたく思うよ。

 それと・・・。」

俺を車いすから見上げながら話していた瑠璃川は

一旦視線を床に落とした。


「龍星のお母さん・・・残念だったね・・・。

 私に構ってくれないで早く家に帰れば、

 状況は変わったかもしれなかったのに・・・。」

「確かに俺にとっては辛い経験だった。

 でも、俺はあの出来事と

 あの日瑠璃川の母さんに言われた事を踏まえて気付いたんだ。

 俺が・・・自分の過去をどう今に活かせば良いのか。」

俺は何にも動揺せずに淡々と話す。

その自覚が自分の中にあった。


「今に活かす・・・?

 一体、何をしようって言うの?」

瑠璃川が訊くと同時に、俺は廊下の窓から外の景色を眺めた。

12月だからもう辺りは暗く、何も見えない。

そして、そのまま顔を逆に向け、教室の中を見る。

授業が終わったばかりで、男女の楽しげな話し声が聞こえてきた。


「俺にはやっぱり・・・友達はつくれない。」

それを聞くと同時に、瑠璃川に困惑の表情が浮かんだ。


「そ、そんな事堂々と言わなく」

「だから、友達でも何でもない人を俺は出来る限り救いたい。」

瑠璃川に割り込むように俺は続けた。


「俺は大事な人を失う悲しみを知る機会が二度もあった。

 でも、他の人にはそんな思いをしてほしくない。

 もしも俺が微量でもそれを阻止する事ができるのならば、

 それは今を生きる俺の役割、アイデンティティーだろう。」

端から見れば俺は瑠璃川を相手に話しているが、

俺にその気は無かった。

俺の今の率直な気持ちを、自分に言い聞かせただけだった。

だが、瑠璃川は何か考えるような難しい顔をしている。


「・・・私はそういう意見カッコ良いって思うよ。

 でもさ、龍星には一つ忘れている事がある。」

俺が忘れている事?


「友達は・・・失うだけが友達じゃない。

 それは失う事だってあるよ。

 でも、失って悲しむその代償を考えても、

 友達にはちゃんと利点がある。」

・・・あぁ、そんな事は分かっている。

お前たちには随分とトモダチとして世話になったと思う。

でも、俺は友達をつくらない。

この先も、ずっと。

赤の他人、そう、俺にとって「何でもないトモダチ」が悲しまないような、

そんな社会がつくれたら、と俺は思ったんだ。


「それはお前たちに教えてもらった事だ。

 俺からも礼を言わないといけないんだろう。

 ただ、俺はお前たちみたいな人が悲しまないように、

 まず、すべき事がある。」

「・・・何をするの?」

「俺は、伊集院を倒してシンギング・ウォーズを潰す。」


・・・両親を失った俺には、

祖父母の支援はあるが、就職という道が合うと思う。

今まで精一杯、良い大学に入ろうと勉強を頑張ってきた。

すべてはこの学校生活も、その進学のため。

そう思って2年生のこの12月まで過ごしてきた。

でも、6日前、俺はその努力を掻き消された。

いや、自分で掻き消したんだ。


俺にはもっと・・・具体的で実現可能なやるべき事がある。


6日前の伊集院との会話の内容すべては頭の中に残っている。

その中には、聞き逃せない一言があった。


ヤツをシンギング・ウォーズの対戦で倒す事さえできれば、

今のこの世を変えられる・・・。

俺はその目的を達成するため、勉強する事を忘れて

ひたすらこの数日間シンギング・ウォーズに没頭してきた。

今の俺にできる、最も明白な目標は、それ以外には無い。

ならば、もう道は決まっている。

















―――――その頃―――――




内垣外うちがいと、お前やったんだな!」

電話の奥からの大道だいどうの声に、俺は短い返事を返す。

彼は今にも飛び上がりそうなテンションでこの俺を祝ってくれているが、

今一番喜んでいるのは間違いなく俺だ。


処刑要塞しょけいようさいアバンダンオブザーバー・・・。

 俺の超強力専用ウェポン。

 これで・・・あのサイバーセイバーを圧倒する!!」

俺たちロックハンドはこの一週間、

シンギング・ウォーズ漬けとなり勝率を格段に上げていた。

最近は不調でチートウェポン獲得が怪しいと噂されていた俺は、

伊集院さんの言葉で元の俺に戻る事ができ、

チートミッション3週目の最後のチートウェポン獲得者3名の中に

無事に入る事ができた。


最近の俺に欠けていたもの・・・それは「自信」だった。

過去の自分の言動の積み重ねにより得る事ができるそれは、

状況によっては簡単に崩れ去り、手の届かない場所へと消えてしまう。

俺はそんな経験は今回が初めてだったが、

自信というものがこんなにも脆いとは思わなかった。

自信を失った俺は、失敗する事を恐れていた。

失敗は許されないと心に置き、それを常に意識してきた。

しかし、そんな行為は逆に自信を失わせる結果になる。


・・・何度も失敗して良い。

最後の目的さえ達成する事ができれば。

その余裕こそが自信に繋がる。

たぶん俺はこの先、力量不足になる事はあっても、

自信自体を失う事はないだろう。


すべては伊集院さんのおかげだ。

あの人みたいな偉大な人なら・・・たぶんこの日本を変えてくれる。

あの人の過去に何があったかは知らないが、

意思の強さや描く思想のスケールは常人とは思えない。

俺はこれからも・・・ずっとあの人の手伝いがしたい。

あの人がつくる世界を見てみたい・・・。





















―――――その日の夜―――――




シンギング・ウォーズ中では、

とあるソロプレイヤー同士の戦闘が行われていた。




アバターネーム:デスワスプ

アーマー:ビーハイブガーヅ

メインウェポン:ニードルランス

HP:LV40

耐久力:LV37

スピード:LV30




アバターネーム:Dディー

アーマー:フォルティシモ

メインウェポン:無双神刀むそうしんとうディソーダースピリッツ

HP:LV1

耐久力:LV1

スピード:LV99




デスワスプは名前の通り、蜂のような容姿の防具に

これまた蜂の針を思わせるような鋭い槍を装備している。

どちらかと言うとスピードの出せる装備、ステータスだが、

Dのそれには到底及ばず、

先ほどから見えないほど素早い斬撃を受け続けていた。




《お前・・・チートつかってるだろ。

 いくら何でもそのスピードでの操作テクニックがおかしい。》

《私がチートか。

 私は私なりのプライドというものがあるのでね。

 例え自分のゲーム中とは言えどもチートは一切使わない。》

《・・・まさかアンタは・・・あの伊集院本人なのか?

 だとすれば俺に何のようだ?》

《お前のアイデンティティーを・・・・・確立せよ。》


伊集院のチャットが流れると同時に、

黒いオーブに身を包んだDが持つ斬馬刀が黒いオーラを放ち始める。

すると、その斬馬刀から発せられたオーラが

だんだんとアバターのD本体を包むように覆っていく。


《何をする気だ!?》

《アイデンティティー確立モード、起動。》


その伊集院の発言と同時に、

アバターであるDが加速する。

Dの顔には顔にあるはずのあらゆるパーツが無く、

ただ流線型の出っ張りが正面に突き出ているだけだ。

それだけでも不気味だというのに、

Dは黒いオーラを纏いながら高速でデスワスプへと接近してくる。


デスワスプは自分の槍を盾にしてDの斬撃を避けようと試みる。

が、次の瞬間、デスワスプは背中から攻撃を受け、よろめく。

それとほぼ同時に、今度はデスワスプの身体正面に斬撃エフェクトが走る。

デスワスプは物凄い速度で繰り返される斬撃による怯みにより、

一切の行動を封じられた。

デスワスプの周囲には黒い霧が立ち込めているように見えるが、

これは全て高速で移動するDによるオーラの残像だ。


《こ、こんなのフザけてる!!》

《安心する暇は無い筈なのだが。

 自身のアバターの異変には気付かぬか?》

《異変だと?今更》

そこで、伊集院の対戦プレイヤーのチャットが止まる。


《俺が集めてきたポイントが・・・減っている!?》

デスワスプを操るプレイヤーのポイントは、

Dの見えない斬撃を食らう度にどんどん減少していく。

通常であれば戦闘で負けない限りでは、

戦闘中にポイントが減少する事など有り得ない。




《おい、どうなっているんだ!?》


《私のDが持つウェポンの名前に見覚えはないか?》

無双神刀むそうしんとうディソーダースピリッツ。

 漢字4文字と・・英単語2語・・・。

 まさかそれは・・・チートウェポン?》


《よく分かったな。

 これは最初のチートウェポンであり、

 開発者である私専用のものだ。

 モード発動時には斬撃により

 相手の保有ポイントを奪取する事が可能となる。》


《・・・開発者だからってそんなもの使っていいのか?

 もしバレたら全国のプレイヤーから批判が》


《もともと、私は都内のカラオケ店舗にEXTREMEが導入された時期から

 テストプレイと称して自分のゲームを真面目にプレイしてきた。

 そして、もともとはチートウェポンというものは

 フィールドエリア全クリアの報酬として

 先着10名にデータ配布されるものだったのだよ。

 しかしながら、それをプレイヤーの中で成し遂げられた者は

 全プレイヤーの中でただ1人しかいなかった。

 だから、特別に今回のチートミッションの企画として

 残りの9機を対象のプレイヤーへと配布してやったのだ。》


《じゃあ・・・お前は一切のチートを使っていないと?》


《如何様にしても、私は開発者としてのプライドは忘れない。》




チャットが流れる中、

Dの斬激により、デスワスプのプレイヤーのポイントは

尽きる勢いで減り続けていた。


《もうやめてくれ!!

 俺はあんたのゲームをずっとやってきた大事なお客様だぞ!!

 もしポイントがゼロになれば・・・。》

《プレイヤーファイルはリセットされ、

 お前のアバターも消滅する。》


残りポイント1000・・・900・・・800・・・。


《おい!ちゃんと分かってんならやめてくれよ!!

 俺は大事な大事なお客様なんだ!!》

《フッ、お客様・・・か。笑わせるな。

 シンギング・ウォーズなどただのレーダーに過ぎん。

 客どころか実験対象でしかない貴様らに元より礼儀など不要。》


・・・シンギング・ウォーズは私が作ったレーダーだ。

そしてそのレーダーにより探知した「ゴミ」は

徹底なるままに苦しめて、苦しめて、苦しめてから始末する。




《レーダー・・・?何のことだ?》

《ところで、お前には友人のPCへとハッキングを仕掛けて

 勝手にその者のアバターを動かして

 ポイントを不正取得した疑いがある。》


700・・・600・・・500・・・。


《・・・だからどうしたんだよ!?》

《お前は自身の言動に後悔し、その友人に対して罪を償え。》


400・・・300・・・200・・・。


《お前のアイデンティティーを確立せよ。》


・・・100・・・0・・・。




―――DSWデストラクション・サウンド・ウェーブ起動。―――









★第28話★ 「決心」 完結





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