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id  作者: 紅色緑茶
5/9

 昔々に大切にしていたものを、どこかへ忘れてしまって以来。私はここにいる。


 薄れていく現実と、今。

 ざわざわと、鳴る視線には意志もない。

 がぱりと開いた口から入ってくる物は言葉だけで飲み込まれるまでもなく死に絶えてしまった。


 忘れ去る底の奥の奥。

 滞ることもないような底なしの意識に落ちる。


 終わりなどないのだと、ありもしない頭が考える。


 漂う先々に光が見えたらいいと、本能が言う。

 ただ眠りにつくだけの日々に、もう忘れ去られてしまった夢に会いに行く。


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