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序
ぷかり、と湧いた意志が私の夢に溶け込んだ。
耳元でざわざわと話す声。
意識をそちらに傾ければそこに木霊だけを残して去ってしまう夢の反響を聴きながら私は眠りにつく。
その言葉の意味は分からない。分らないけれども、私がその反響を聴いたときに見る夢は、誰かの夢だった。
「――――」
一つ息をついて目を開ける。そこはもう私の夢ではない。漂う水の中にいるかのような感覚。そして見られている。誰からかは分からない。感じる視線は宙からだがそれは私を見ようとしているのではない。私を見通して世界を見ているのだ。
いわば私はその夢の中の世界の一部。夢の中でもちっぽけだ。
漂う先々で見えるものに思いを寄せても、私が介入する余地はない。
だから私は眠る。