4話 温もり
屋上から校庭を眺めていると、
ドアが勢い良く開いた。
そこに居たのは、相葉だった。
「・・・どうなってんだ?」
「え?」
「え?じゃないだろ。なんで宮入はお前のことシカトしたわけ?
仲良いんじゃねぇの?」
そうか。相葉は私のことを心配してくれているんだ。
そう思うと、知らず知らず、泪は出てきた。
泣いたりしたら、また相葉に心配をかけてしまう。
それが嫌で、私は泪を拭い、必死に笑おうと努力した。
だけど、人はなんて脆い生き物なのだろう。
私の泪は、止まると言うことを知らなかった。
そんな私に相葉は、たった一言、こう言い放った。
「無理すんな。」
私は、その言葉を求めていたのかもしれない。
その証拠に、私はこの時、死んでから初めて心から安堵した。
私が見える人がいてくれて、本当に良かった。
その人が、優しい人で、良かった。
相葉に、この状況を訊いてもらおう。
そんなことをしたって、何も解決しないことは、
充分すぎる程に、分かっている。
そういうことではないんだ。
自分でも説明はできないが、とにかく、感謝を伝えたい。
相葉なら、きっと最後まで訊いてくれるだろう。
私は、勇気を出して、相葉に話しかけることにした。
「あの・・・っ・・相っっ・・・訊いて欲っ・・しいことが・・っ・・・」
泪の後遺症で、私はうまく言葉を紡ぐことができなかった。
相葉は、
「うん、わかった。訊くよ。ちゃんと訊くから・・・
今は、溜めてるもん全部出して・・・いいよ。」
不思議。
相葉には、私の考えていることが、全て分かってしまうみたい。
私は、相葉の優しさに甘えて、悲しみを洗い流すかのように、
たくさん、大粒の泪を零した。
そんな私を受け止めてくれるかのように、
相葉は私をずっと、抱きしめてくれていた。
死んでから初めての、人の温もりだった。
4話、如何だったでしょうか?
まだまだ未熟ですが、今後ともよろしくお願いします。
ご意見・ご感想等いただけたら幸いです。