ジンバブエコットンデニム
暗黒大陸からの最終便が到着した
血糊のついた色褪せたデニムが一着
首都奪還作戦で肉塊になったって
遠く風の噂に聞いたよ
――坊主 俺は偽善者と闘っている
あの黒人の酋長の口癖だった
――坊主 俺は鞄や傘はもたない
名誉白人にも寛容だった
――坊主 俺はボトルの銘柄は見ない
酒乱の部下を射殺したときもあった
――坊主 俺は花と一緒に眠りたい
エリオットの詩集の真似なんかして
遺品のジーンズのヒップポケットに
遺された花の種
戦友よ 私が密葬してやる
密教の呪術で祈祷して
血のついたデニムを洗ってやった
翌年の豊饒の季節
種をもってあの国に帰ろう