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絶対宣言~妹は生意気な方が可愛い~  作者: 南条仁
絶対宣言2~白雪姫と悪い魔女~
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第56章:貴方の夢は何ですか?《前編》

【SIDE:七森桜華】


 夢について考えてみる。

 誰だって夢のひとつくらいある。

 私も幼い頃に出会ったモデルのお姉さんが綺麗だったのが印象的で、それ以来、そちらの業界に興味を持った。

 あれから数年が経ち、私は今、そのモデル業界にいる。

 自分の夢を叶えている最中だ。

 夢は放っておいて叶うものじゃない。

 夢を叶えるためには行動することが大事なの。

 ジッとしていて、叶う夢ならそれは夢じゃない。

 春ちゃんには夢があるんだって。

 どんな夢だろう?

 私の知らない春ちゃんがそこにいる気がして、ものすごく嫌だ。

 花が好きだと言うことは“お花屋”さんかしら?

 うーん、その可能性が高いけど、パンフレットって何?

 少なくとも、それが必要だと考えられるのは学校関係だ。

 専門学校、短大、大学……など、そういう雰囲気がしていた。

 それを私に隠す必要が意味ないのよね?

 私が笑う事……?

 ワケが分からないなぁ。

 朝から春ちゃんは園芸部のために学校へ行く。

 夏休みも最後に近づいているのにお疲れ様です。

 そんなわけで私は彼がいない間に例のパンフレットを探す。

 今度こそ見つけてやるわ、と意気込んで探していた。

 ママには部屋の整理だと言い訳しておいて、誤魔化しのカモフラージュ済みだ。

 ゴソゴソと彼が隠していそうな場所を探す。

 

「……ん?」

 

 私が見つけたのはパンフレットではなく、新聞の切り抜き記事だ。

 内容は『フラワーアレンジメント教室のご案内』、違う、これじゃないわ。

 ええいっ、どこにあるのよ。

 他にもいろいろとでてくる。

 『フラワーコーディネーター入門』、『フラワーデザイナーとは?』……ETC。

 花関係の書籍ばっかりじゃない、他のはないのっ!?

 

「はぁ、春ちゃんが花好きだとはいえ、ここまで花尽くしだと男の子としてどうなの?」

 

 私は彼の心配をしてしまうの。

 人の趣味をとやかく言うつもりはないけどさぁ。

 漫画一冊もない男の子の部屋って何だかおかしいと思う。

 何ていうか、春ちゃんって他に趣味を持った方がいいよ。

 

「……むむっ、もしかして、これが夢とか?」

 

 ようやく、ベッドの下、普通の男の子なら怪しげな本やDVDが出てきそうな場所にパンフレットを発見した。

 ついに見つけました、いぇい!

 さぁ、どんな夢なのかなぁ?

 

「――うきゃぁ!?」

 

 だけど、それよりも前に私はベッドに突き飛ばされる。

 私の手元から落ちるパンフレット。

 何だかデジャブを感じる扱いの悪さ。

 

「私がいくら軽いからって吹き飛ばすのはどうなのよ!?もうっ!」

 

 誰よ、可愛い私に手荒なことをするのは!?

 振り向いて私はビクッとしてしまう。

 そこにいたのはこちらを呆れた顔をで見るママだった。

 

「桜華、春日の部屋に勝手にはいっちゃダメでしょ!?」

 

「え?えっと、そのぉ……」

 

 私は現在、春ちゃんの部屋には立ち入り禁止なのです。

 前回の階段から突き落としちゃった事件もあるし、それ以外にも色々とね。

 

「しかも、春日から桜華が入らないように見張っておいて欲しいって言われているの。もうっ、この子はホントに悪い子ねぇ。今度は何をしたの?」

 

「な、何もしてないもんっ!あっ、そのパンフレット……」

 

「はい、部屋から出て行く。いいから来なさい。貴方にはお説教しなきゃダメなようね」

 

 私は結局、そのパンフレットが何なのか分からないまま外に追い出された。

 問題のパンフレットはママが机においてしまう。

 そのまま春ちゃんの部屋の扉は閉められて、私はガクッとうなだれた。

 あと少しだったのに……おのれ、ママめ……。

 ジッと睨もうとしたら、逆に睨みつけられて私はリビングに引きずられる。


「ふみゅーん」

  

 その後は思いっきり説教の嵐でした。

 春ちゃんの部屋への不法侵入だけじゃなく、普段の生活態度まで注意を受ける。

 

「いい?桜華、貴方はね、もう少し自覚もちなさい。最近の桜華を見ていると……」


 うぅ、いらないところで説教される私って……?

 最後は最近のモデル事情とお気に入りの化粧品の話に流れて、説教は終わり。

 ママは私相手には厳しいのよ、親子としては仲がいい方だけど。

 

「……それで、また何を企んでいるの?」

 

「春ちゃんもそうだけど、私が何か行動を起こしたら企みがあると思わないでよね」

 

「それじゃ、桜華は今回は何もしていないって言えるの?」

 

「うっ……まぁね。今回はちょっと気になるって言うか、春ちゃんが私に隠し事をするのよ?私に対して、隠し事をしてるの。大事な事だから2回言った」

 

 ママは私の言葉に「年頃の男の子が隠し事って別に普通でしょ」と呆れ口調だ。

 男が女に隠し事をするのは大抵、怪しい事があるからなんだ。

 その秘密を探りたいと思うのは女性として当然の事だと思う。

 

「だってさぁ。春ちゃんの夢って知ってる?私には内緒にしてるのよ?」

 

「……春日の夢?フラワーショップをするんじゃなかったっけ?」

 

「どうやら、それ以外にも夢みたいなのがあるみたい。だから、探してたのよ。さっきのパンフレットにその真実があったはずなの」

 

「あれって、普通に映画のパンフレットだったけど……?」

 

 ……はい?

 どうやら、私が見つけたのはホントに映画のパンフレットだったらしい。

 しかも、数日前に公開し始めたもの。

 つまり、春ちゃんは他の誰かと映画を見に行った!?

 誰よ、誰……まさか宗岡先輩っ!?

 

「あれじゃないの?先週の日曜日、信吾くんと一緒に出かけた時じゃない」

 

「あぁ、信吾さんか……って、男同士で恋愛映画ってどうなの。あのふたり、出来てる?」

 

「そんなわけないでしょ、おバカ」

 

 バカって言わないでよぉ……どうやら、浮気ではなかったらしい。

 彼らはたまに映画を二人で見に行くんだ、唯一の春ちゃんの花以外の趣味かも。

 となると、謎は謎で残るわけで……。

 

「大体、春日の夢なんて桜華が知りたがる意味が分からないわ。どうせ、興味ないって言うのに。そこまで知りたい理由は何よ?」

 

「あのねぇ、私がどうしてそこまでひどい扱いされているのか理解不能過ぎ。私はただ、春ちゃんが私に対して隠し事をするのが気に入らないの。それが些細なことだとしても、許せないの。絶対につきとめてやるわ」

 

「……その無駄に頑張る力を他の事にも活かしなさい」

 

 やれやれ、とママは私に苦笑する。

 

「ふんっ。春ちゃんのクセに私の手をわずらわせるなんて」

 

「それと、約束通り、彼の部屋に勝手に侵入するのは禁止よ。次にしたら……」

 

「お、お小遣い減らすのは嫌~っ。ただでさえ、バイト代があるからってお金を出してくれないのにー。分かりました、しないように善処するから。はぁ……」

 

 思わぬ邪魔が入り、捜査は難航中です。

 春ちゃん、私が本気を出すしかないようね……。

 

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