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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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ツーショット

作者: 結城 からく
掲載日:2026/09/07

●昼・駅構内の証明写真機

証明写真機の前に立つ、リクルートスーツを着た青年。

青年、スマートフォンで通話をしている。


青年「あー、うん、大丈夫。今度こそ通るって。はいはい、結果が出たら連絡するから。それじゃ」


青年、通話を終了する。

スーツの襟元を正して気合を入れる。


青年「よし」


青年、証明写真機の中に踏み込む。

機械の音声案内が始まる。


音声「いらっしゃいませ。カーテンを閉めて、ご希望のメニューをお選びください」


青年、カーテンを閉めて椅子に座る。

画面をタップして撮影準備を進めていく。

途中、財布を開いて千円札と小銭を投入する。

青年、椅子の高さを調節し、背筋を伸ばしてぎこちなく座る。


音声「撮影します、3……2……1……」


フラッシュが焚かれて写真が撮られる。

青年、少し安心した様子でネクタイをいじる。


青年「いけたかな……」

音声「もう一度撮影します。3……2……1……」


青年、音声案内を聞いてすぐに背筋を伸ばす。

すぐさまフラッシュが焚かれる。

画面が切り替わり、撮影した二枚の写真が表示される。


音声「写真を確認してください」

青年「うおっ!?」


青年、画面を見てぎょっとする。

二枚の写真には、どちらも黒髪ロングの赤いワンピースを着た女が写っている。

女は下を向いており、顔は分からない。

青年、気味が悪そうに画面に注目する。


青年「えっ、何これ」

音声「撮り直す場合は、撮り直しボタンを押してください」

青年「故障……だよな」


青年、不安そうに撮り直しを選択する。

青年、写真機の中をきょろきょろと見回す。


音声「撮影します。3……2……1……」


フラッシュが焚かれる。

青年、ぎこちなく不安な表情で撮影される。

青年、緊張した様子で画面を見つめる。


青年「頼むぞ……」

音声「写真を確認してください」


計三枚の写真が表示される。

直近の写真にも女が写っており、先ほどよりも僅かに顔が上がっている。

青年、顔を顰めて呟く。


青年「マジかよ……完全に心霊写真じゃん……」


青年、画面に触れて操作し、写真を選択する。

間もなく証明写真が印刷される。

青年、写真を手に取って険しい表情になる。

現像された写真にも、女はしっかりと写り込んでいる。


音声「ご利用ありがとうございました」

青年「もう一回……」


青年、慌てて財布を取り出し、千円札と小銭を機械に投入する。

青年、同じ要領で何度か写真を撮る。

青年、複数の写真を並べて戦慄する。

写真に写り込む女が、少しずつ顔を上げようとしていた。

青年、ぞっとして呟く。


青年「少しずつこっちを向こうとしてる……?」

音声「いらっしゃいませ。カーテンを閉めて、ご希望のメニューをお選びください」


唐突な音声案内にビクッと反応する青年。

青年、写真と画面を交互に見て考え込む。


青年「次で完全に顔が見えるかも……」

音声「お金を入れてください」

青年「やめた方が……いや、でも……」


青年、葛藤する。

やがて決心して財布を取り出す。

中身を確認した青年は「しまった」という顔になる。

財布には紙幣が一枚も入っていなかった。

青年、それを見て焦る。


青年「嘘だろ、おい……」


青年、慌てて証明写真機から出ると、そのまま小走りで立ち去る。


青年「コンビニ、コンビニ……」


場面転換し、証明写真機まで戻ってくる青年。

財布には千円札が何枚も入っている。


そこにリクルートスーツを着た女子大生が現れる。

女子大生、青年の前で証明写真機に入ろうとする。

青年、思わず声をかける。


青年「あっ、ちょっと」


女子大生、不機嫌そうに足を止めて青年を睨む。


女子大生「なんですか。急いでるんですけど」

青年「いや、俺が先に使おうとして……」

女子大生「は? 何それ」


女子大生、鬱陶しそうに言った後、証明写真機に入る。

女子大生、勢いよくカーテンを閉める。

外から見守る青年、これまでに撮った写真を見て呟く。


青年「大丈夫かな……」


青年が待っていると、証明写真機の中から女子大生の悲鳴が聞こえてくる。


女性「あぎっ、うっ、いたたたたたたたた」


証明写真機が揺れる。

青年、突然の事態に動揺する。


青年「えっ、えっ」


やがて証明写真機の揺れがぴたりと止まる。

物音が聞こえなくなり、青年は恐る恐る声をかける。


青年「あ、あのー……大丈夫ですかー?」


証明写真機の中で何かが倒れる音がする。

カーテンの下から、女子大生の足がはみ出す。

少し遅れて血が広がり出す。


青年「えっと、救急車呼んだ方がいいですかね……?」


狼狽する青年、スマートフォンを手にして尋ねる。

110番を呼ぼうとした青年、ふと何かを閃いて手を止める。

青年、震えながらスマートフォンを女子大生に向けて写真を撮る。

その際、指に力が入り、連射モードで撮影する。


青年「あっ」


慌てて撮影を止めた青年、撮った写真を確認する。

青年、興奮気味に微笑む。


青年「やっぱり……」


女子大生のそばに、赤いワンピースの女が写っている。

女、下を向いて顔が見えない。


青年、写真をスクロールしていく。

女、徐々に青年へと迫ってきている。

顔も僅かに上げて見えそうになっている。


青年「これが最後の一枚……」


青年、緊張しながら画面をスクロールする。

最後の一枚の写真は、真っ黒の画像だった。

青年、怪訝そうに画面を注視する。


青年「なんだこりゃ」


スマートフォンを注視する青年。

一方、実体化した女がスマートフォンの外カメラを至近距離から覗き込んでいる。

真っ黒の画像は、女の眼球を写したものだったことが判明する。

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