タイトル未定2025/11/25 14:03
1
友人がちょっと個性的な色と形の可愛いバッグ持ってて
「そのバッグかわいい」
と褒めたら
「でしょー?
フリマサイトで買ったの
でもね
届いた時に中にショートカットくらいの色んな髪の毛いっぱい入っててさー」
「……え?」
「でも可愛いから、中の髪の毛捨てて綺麗にして使ってるの」
ニッコニコでご機嫌な友人
あのぅ
どなたか
鈍感力の鍛え方を教えて貰えませんか
友人曰く
「えー?素質?」
の一言で何の参考にもならない
2
高校時代からの友達
多い時は8人で集まるんだけど
c子とd子は基本セットなのね
それでいつも一緒だから
c子とd子とはそれぞれ2人きりで単体で会った事はない
でも
久しぶりにみんなで会えた時
珍しくd子いなくて
c子に聞いたら
「d子って誰?」
って言われた
みんなにも
「は?誰?」
「ボケた?」
「他のグループと間違えてないる?」
「怖、やめてよー」
って突っ込まれたけど
あとで
普段はあまり絡まないa子に
「c子とd子、いつも一緒にいたよね」
って顔青くして言われた
だよね
割りと記憶もあるんだよ
って言うかd子卒アルに載ってるし
もしかして
「ただ私らの知らぬところで、何かあったのかな?」
ってね
私たち、蚊帳の外仲間?
って
a子と妙な仲間意識は生まれたんだけども
勿論
引っ掻き回すつもりはなくて
でも
どうしても気になって
c子に連絡して
c子の実家にあるってアルバム持ってきてもらって
c子のアルバム見たらさ
d子いないのさ
それで
c子にd子の写ってるアルバム見せたら
「んんん……顔は知ってる気はするけれど、遠い親戚くらいあやふや」
って首を傾げられた
うん
それでどうしたか?
って
どうもしないよ
それだけ
私も含めみんな忙しいし
本音はね
忙しいふりして
私もa子もc子も
なのにさ
「あ、○○?いきなりごめんね、この間さみんなで会った時さ、○○、仕事で酒蔵の人と話したって言ってたでしょ」
d子から電話来たよ
「ぁたしモ、シゴとの……△ケ……○のね、ォオォのコト」
「ミミミ△△ュコトでサ」
「□□c子とね、レんけつマイ△イ○のジじジんの」
ええどうしよこれ
何言ってるか全然解らない
切ってもいい?
3
「彼氏がさ
別の女に心変わりしたのよ
それはまぁ仕方ないじゃない
なのにさ
彼氏の方がメソメソしながらさ
『本当にごめん、全部俺が悪いんだ、俺のこと恨んでいいよ』
とか言うから
『じゃあ、あんたの髪の毛を根本から数本と陰毛数本
あと今使ってるお箸を頂戴』
って言ったら拒否られたのね
だから
『その程度の覚悟で“恨んでいい”とか軽く言わない方がいいよ』
って言ったらさ
頭おかしい扱いされたの
酷くない?」
うーん
“どっちもどっち”
かな
「えー?」
不満そう
「まぁ男の方が幾分アホかな」
女の見る目のなさからしても
「でしょー?」
「それで?そいつの髪の毛やら陰毛やらは?」
こっそり盗ってきたのか
「盗らない盗らない、あんなんハッタリよ、ハッタリ」
友人は
ニッと歯を見せて笑う
そうなんだ
「そ、あのね
教えてあげる
“言葉”
だけでね、充分なんだよ」
言葉だけ?
「そ、言葉はね、凄ーく強いよ」
半年もしないうちに
「元彼めっちゃうるさい
自分でしでかしたミスやちょっとした不幸を
全部ね
『おい俺に何かした?』
『しただろ?』
『彼女になんかしたら俺が許さないからな』
『なぁ本当に何したんだよ』
『やめろよ』
『ねぇ俺がなにした?』
『確かに心変わりはしたけどさ』
『二股みたいな時期はあったけどさ』
『なぁホントにそんなことで?』
『ここまでするか?』
『したのか、俺はしたのか』
『え、なぁマジで俺が悪いの?』
『もう解ったから、本当に』
『謝るからさホントに』
ってね
“私は何もしてない”
って言ってるのにしつこくて
面倒だからそろそろ電話もメッセージツールもブロックするけど」
ええ……?
それ、どうなるの?
「え、知らない
ただ、ずっと元カノって言う私のせいにしてる間はそのままかな
もしくは
お祓いでもいくんじゃない?」
お祓い
「そ。それで“憑いてもいない”私と言う元カノの恨みを祓って貰うんだよ」
まぁあんたにも
もう新しい彼氏いるもんね
「そうそ
あんたには一番に紹介したいから時間空けといて」
はいはいおめでと
決まる時はあっという間だねぇ
4
私の結婚式前日にね
親友に自殺されたよ
スピーチも頼んでたんだけど
その時は快諾してくれて
「私の時もよろしく」
って笑ってくれて
勿論って約束したくらいなのにね
2ヶ月くらいしてから
なんだっけ
そうだ
スーパーで親友が好きだったチョコ菓子が目に留まって思い出したの
親友に選んだウエディングドレスの写真を見てもらってた時に
「前日か当日か迷うなぁ」
って呟いてたこと
「えー、なに?」
って聞いたけど
「内緒♪」
って笑ってた
前日か当日
自分が自殺することで
よりどちらの方が私にダメージ与えられるかを考えてたんだね
あの時にはもう決めてたんだ
自殺することを
その選択は大正解だよ
結婚式のアルバムの写真
見事に不自然にひきつった笑顔の花嫁姿の私が写ってるもん
でもね
私は
それでも
アルバムの写真の中に親友の姿を探したよ
隅々までも
でも
親友の髪の先も影すらも
何も写ってなかった
5
ちょっと顔のいい上司の栄転が決まった
私の上にいた間もまぁモテてたよ
顔だけでなく人当たりも良かったからさ
私は
どちらかというと女の子が好きなんだ
そう
私に限ってだけど
私
中身が男なんだよ
肉体を選び間違えて生まれたね
だからね
そのモテる上司もね
モテるからこそ
「お、こいつは見た目は女でも、俺に興味はなく迫ってこない女だ」
って鋭く感付いたんだよ
だからお互いに気負わずに
上司と部下だけどわりとプライベートでも仲良くなれた
同じ場所で働かなくなっても
仕事で繋がりはあったから
昼間仕事で会えば夜は軽く飲んでたんだよ
そんな
モテ過ぎて困る上司にも
遅い春が来てさ
栄転先の同じ職場の部下だって
私も何度か顔は合わせたことあるけど
そう美人でもなければ可愛いと言えなくもない
失礼ながら
ごくこく普通の
色気もあんまりなモブ感のある見た目
嫉妬でなくてね
物凄く失礼な言い方するなら
上司と並ぶと
俳優とマネージャー的な感じね
だからこそ
「内面がいい人なんだろうな」
ってみんな思ってたと思う
その日も飲んだんだけどさ
珍しく上司の方の酔いが早くて
「なんであの人にしたの?」
って聞いたら
「トイレの使い方が綺麗なんだよ」
とね
うん
まぁ酷い人もいるしね
私がふんふんと軽く頷いたせいか
「トイレって超個人的な空間だろ?
鼻ほじったりケツ掻いたりさ
ひでー顔して歯の詰まりものを長い爪でほじって取ってたりさ」
詳しいな
「そんな中でもあり得ないのは、便器に乗って用を足すやつね」
?
「あの便座の部分に靴のまま乗っかるんだよ」
え、汚なっ!
「だろ?
かと思えばスカート捲り上げて
ハイヒールの足の裏で水を流すハンドルを押したりしてさ
中には備品のペーパーを当たり前の様にエコバッグに詰めたり
鼻くそを壁になすり付けるやつもいる」
ええ……?
「トイレ並んでるのに個室で化粧直しはおろか、昼寝までしてんだよ
後は仕事中に胸まではだけて1人でオナッてる奴もいる」
……
「酷いのは生理のナプキンとかタンポンの扱いな
あれ、あのまま流す奴いるんだよ
詰まるって
やめろって苦言呈したいよ本気で」
……信じられない
「な、信じられないだろ?」
「そんな奴等に媚び売られたってさぁ、勘弁して欲しいってやんわり断るだろ?
そうすると女に興味がないって噂広められるんだよ」
あぁ私もたまにその噂は聞いたよ
「そんな中でさ」
「彼女は違ったんだ」
何が
「彼女は個室入ったら
まずペーパーを丁寧に数枚巻き取ってプッシュ式の消毒液含ませて
便座とか拭いてさ
用を足したら
やっぱり丁寧に数巻きだけペーパー取って便座を拭いてるんだよ
そう
あぁ彼女は
潔癖症じゃない
自分が用を足したら
次の人のために消毒する人なんだよ
蓋も丁寧に下げてさ
セットしてあるペーパーが少なかったら新しいのに替えて
トイレの個室見回して
忘れ物、汚れがないかって確認して出てくんだよ
毎回
育ちって言うか他者への配慮かな
生理のナプキンも
丁寧にくるんでペーパーで包んで
夕方近くなら小さいジップロック忍ばせたポーチにしまって
自分の部屋まで持ち帰って捨てるんだよ」
「常々育ちがいいのかと思ってたんだけど
彼女の家は別に上流階級とかでなくてさ
結婚の挨拶に行った彼女の実家は
ごく普通の庶民的な家だった
気持ちだけの小さな庭に
庭用の箒が雨ざらしで立て掛けてあるくらいの
それも意外だったよ
確かに人は良さそうな義両親と妹さんだったけど
そうそう
そうなんだよ
他者への配慮や常識って
見た目でも金持ちでも貧乏でも関係ないんだなって
すげー美人でもめちゃくちゃ可愛くても金持ちでも関係なくて
ひっでぇトイレの使い方するやつを散々見て来たからさ
そんな中で
あーこの人
トイレの使い方
毎回毎回なんかいいよなぁって思ったんだ」
と
うっとりと思い出すように目を閉じる上司
そういえば
彼女にはこの上司の方からアプローチしたと聞いた
ええと
一見いい話風だけど
それで
「その
一応聞くけど
なんでそんなに
女子トイレの個室の事情に詳しいの?」
酔った上司は黙って笑ってたよね
私は
当然ね
会社はおろか外出先でも物凄くトイレしにくくなって
でもそしたら当然膀胱炎になってさ
それからは
せめて上からでも隠せるように
個室でほんの小さな折り畳み傘広げて用を済ませるようになったよ
横とか下から撮られてたらどうしようもないけどさ
気持ちやらないよりかは
ましでしょ




