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6話 この感情は何?

 スミレさんの家を出て、馬車に乗り込んだ私は柄にもなく考え込んでいた。

 あの日出会った瞬間から彼女のことが頭から離れなくなった。

 彼女の母が叩こうとしたとき、気付いたら止めていた。

 あんな濁った色しかいない世界で彼女の色まで濁っていくのかと思うと耐えられなかった。

 だから、私は彼女をあの家から連れ出すことにした。

 それが正解だったのかは分からないけれど。

 それに、私が彼女に抱いた綺麗だという気持ち。

 それ以上のことも私には分からない。

 だって私には感情がないから、知りたくても知れないことというのは多い。

 あの菓子を渡したときに彼女が見せた表情、それを見た時の心臓の鼓動の早さも、私には何故なのか、分からなかった。

 ただ、彼女が私を選んでくれれば良いのにとは、思いはしたが。


 ハクト様が帰ってから部屋で頂いたスミレの砂糖漬けの缶を眺める。

 スミレの砂糖漬けを売っているところはそんなにないからこの缶も見たことがあるし食べたことだってある。

 それなのに、何故か今までよりも特別にそう思えた。

 はっきり言ってハクト様の行動はいきなりだったと思う。

 心の色が綺麗だったから、とか、そんなに簡単に伴侶を選んでしまって良いのだろうか。

 白龍で、しかも位の高いウォード家の長兄。

 この家自体は別に家柄が悪いわけではないけれど、私は呪われている。

 でもハクト様はそれを気にしないと断言して私を妻にしたいと言った。

「……なんだろ、この感じ」

 私は父の言葉を胸にずっとかりそめの笑顔で生きてきた。

 誰かにたてついたり逆らったりせず、ただ純朴なふりをして。

 そんな私ではきっといくら考えてもこの感情の答えは出せないだろう。

 ただ、今までの行動のおかげでハクト様から私の心が綺麗に見えたのだったなら、それは少しだけ嬉しいことかもしれない。

 そう思いながら、私は缶を胸に抱いた。

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