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たけるの投票裏工作〜金曜日の体育は絶対にサッカーがやりたい!〜  作者: ameumino


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9/9

エンディング

金曜日の5時間目、体育の時間。

運動場にはサッカーゴールが2つ設置され、試合が始まっていた。


たけるはビブスを着ていない待機組。コートの脇から、試合を見守っていた。


そのとき。


「よかったわね、サッカーになって」


背後から聞こえた声に振り向くと、朝宮涼香が笑みを浮かべて立っていた。


「ああ、ほんとに良かった。涼香、ありがとうな。票を集めてくれたのも、権田山をうまくおだててくれたのも、全部助かったよ」


「ホント感謝してほしいわ。権田山権蔵をおだてるなんて、罰ゲームでしかないんだから。他の女子なんて、私が『お願い』って言ったら、目そらして逃げるんだよ?」


「罰ゲームか、ハハハ」


たけるが笑うと、涼香は少しムスッとした顔で言った。


「笑いごとじゃないっての。ホント1ヶ月分のデザートじゃなくて2ヶ月分にすれば良かったわ」


「2ヶ月分はきつすぎるよ……でも、本当に感謝してる」


「ま、わかってくれたらいいのよ」


そう言って、涼香はたけるの横に並んでフィールドを見つめた。


そのときだった。


「うおぉぉぉっ!」



叫び声とともに権田山権蔵が、一直線にボールを追い、思い切り右足を振り抜いた。


――ズドンッ!


鋭いシュートが、ゴールの左隅に突き刺さる。


「ゴーーール!!」


「やるじゃん権田山!」


「マジで決めたよ!」


歓声が上がる中、権蔵は照れたように小さくガッツポーズを決め、胸を張って自陣に戻っていった。


「まじか、あいつあんなうまかったっけ?」

たけるは大きく目を開け驚いた。


「人はおだてられると成長するみたいね」


対して涼香はふっと笑った。


ピィーーーッ!


ホイッスルが鳴り、選手が交代になる。


「次、たけるたちの番だよ!」


「おう!」


たけるは軽く肩を回しながら、コートへと駆け出した。

青空の下、白いシャツが風にはためいていた。


――やっと、思い描いた通りの体育が始まった。(完)

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