表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

ただし君ダイエットは明日から

3時間目、4時間目が終わり、待ちに待った給食の時間がやってきた。

今日のメインメニューは、カレーライス。


真っ先におかわりに並んだのは、太山ただし。

ぽっちゃり――いや、控えめに言ってデブだ。


たけるは、カレーを鍋から山盛りよそうただしの背中を見つめながら、皿を手に取って立ち上がった。

自分もおかわりするふりをして、ただしに近づき声をかける。


「ねえ、ただしってさ、ダイエットしたいって言ってたよな。……おかわりして大丈夫?」


これは、佐太郎から仕入れた情報だ。


「そ、それは……明日から頑張るつもりで……」


「ふーん。まあ、無理すんなよ。けどな、どれだけ食べても痩せられる方法、あるんだよなぁ」


「えっ!? なにそれ!」

ただしは目を丸くした。


たけるは不敵に口元をゆがめ、ささやくように言った。


「サッカーだよ。テレビでやってたんだけどさ、ソフトボールの3倍カロリー消費するらしいぜ」


もちろん嘘だ。3倍かどうかなんて知らない。

だが「テレビで言ってた」とつければ、相手は信じやすい。――これは経験則だ。


「そっか……じゃあ金曜の体育は……」


「サッカーで決まりだな!」


「うん!」


ただしは満足げにうなずくと、鼻歌まじりに自分の席へ戻っていった。


(ちょろいな)


たけるは冷たく笑った。

いくら激しい運動をしても、その量のカレーを食ってるようじゃ痩せるはずがない。

――彼がその事実に気づくのは、何年後だろうか。


ともあれ、ただしをサッカー派にできたのは大きい。

なぜなら、ただしには“デブ友”が2人いるからだ。

きっと、たけるの話を2人に吹き込んでくれることだろう。


たけるはカレーを少しだけご飯にかけて、ゆっくりと席へ戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ