表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たけるの投票裏工作〜金曜日の体育は絶対にサッカーがやりたい!〜  作者: ameumino


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/9

崩せ!完璧主義の城壁――心の隙間に揺さぶりを

翌日――水曜日、中間休み。


たけるは、ある男の机の前に立った。


男の名は細の島良太。あの“野球五人衆”のひとりで、ポジションはピッチャーだ。


「やあ、良太。元気?」


「元気じゃないよ。1時間目に漢字テストがあるから、めっちゃ緊張してる」


「漢字テストって、小テストだろ? そんなの気にするなよ、テキトーに済ませばいいじゃん」


「やだよ! 絶対に満点とらなきゃ!」


良太は筋金入りの完璧主義者だ。

ミスを嫌い、何ごとにも全力で取り組むタイプ。

野球でもその姿勢は変わらない。正確無比なコントロールで三振を奪うが――ひとたび崩れると、脆い。


(さて……そろそろ本題に入るか)


たけるは良太の机に両手を置き、身を乗り出した。


「なあ良太。金曜の体育、どっちに入れるつもり?」


「えっ、それは……ソフトボール、だけど?」


「なんで?」


「だって僕、野球やってるし。あと他の野球メンバーからも、ソフトボールに入れろって言われてるし……」


「……それでいいのか? 本当に?」


「えっ、なにが!?」


戸惑う良太を見て、たけるはニヤリと笑った。


「お前、ピッチャーだろ? この前の体育、覚えてるよな」


良太の表情がみるみる曇っていく。


こないだの体育のソフトボール。

最終回、ピッチャーの良太はヒットを許したあと、まさかの3連続フォアボール。

その結果――サヨナラ押し出し負け。


「あーっ! 思い出させないでよ! 忘れかけてたのに!」


「また同じミス、したくないだろ?」


「そ、そりゃ……」


「またチームメートに怒鳴られるかもな」


「い、嫌だ……!」


「だったら、サッカーに入れたほうが良くない? ピッチャーやらなくて済むし」


「そ、そうだね……サッカーに、しようかな……」


「よし、頼んだぞ」


たけるは冷や汗を浮かべた良太の肩を、軽くポンと叩いてからその場を離れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ