回想
「やぁどうも初めまして…と、言った方が良いよね?うん。さて、あまり時間が無い上にボクはそろそろ飽きてきた。自己紹介は省いてさっさと進行してしまおう」
「名前ぐらい教えてよ」
「嫌だね。キミはこの記憶を忘れる。教えても意味がない」
「けちだね。ねぇ、あなたが僕をここに連れてきたの?」
「ああ」
「何のため?」
「キミは生まれながらにして罪がある。それを清算するために連れてきた。恨むなら、父親を恨むと良い。」
「僕はどうしたらいいの?」
「今から選択肢を与える。どちらか好きな方を選んでくれ。」
「生きたい?それとも、死にたい?」
「生きたい」
「即決だね。どうしてかな?」
「僕にはやらないといけない事があったんだ」
「思い出せないのかい?」
「うん。でも、きっと僕はそうすべきなんだ。」
「…そう。そんな中途半端に血を引き継ぐだなんてキミも不幸だね。まあ、それはそれとして。奥にある白い扉が見えるかい?あれを開きなさい。そしたらキミの新しい生活が始まる」
「生きるだけで僕の罪は無くなるの?」
「いいや。とりあえず向こうに行ったら人の姿をしたボクに会ってくれ。会ったら分かるから。早く行くと良い」
「分かった。さようなら」
「ああ。運命がキミにとって良いものであるように願っているよ」
———はたして、このやり取りは一体何度目なんだろう。