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神に祈って  作者: ロヒ
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キミのために(1)

理由がなければ2人は納得しない。


いつか言う時が来るだろうと思っていた。しかしそれはこんな大泣きの状況を予期したものではなく、シリアスに相対した状態で、だと思っていたのだ。


まったくなぜラストチャンスに限って予想外が出てくるのか不思議でならない。


メイテイを落とした時は慣れもあってか、ここまでの感情は出なかった。しかしセキラから、こんなことを言われたのは初めてだった。思わず動揺してしまったのが運の尽きなのだろうか。


脳内は冷静だが、涙は溢れて止まらない。

長になった、と言うセキラを見れば、もう「良かった」としか思えないのだ。


「今から突飛な話をしよう」


ビフェリオの記憶上、狂うほどの数をこなした輪廻の中で彼、彼女が長になったことは一度だってない。


「最初はさ、セキラだったんだ」


ビフェリオは思い切って、切り出した。もう涙と共に全てを出して、全てを終わらせるつもりだった。


だってこれ以上神都に用はない。

()()()()()()()()()()()()()()()()

あとはセキラとメイテイの安全を確保できればそれでいい。


少しだけ話そう。どうせ最後なのだから。


一方は罪人のような虚な表情で、もう一方はやるせない怒りを抑えながら、静かに雨に打たれている。


***


神都を滅ぼす役目を持っていたのは、セキラ。キミだった。原因は…わからない。けれどキミは真面目だから、感情を暴走させる些細なキッカケなんていくらでもあるだろうね。


原因わかってるだろって?…あぁわかった。そんな目で見ないでよ言うよ。


…少なくともキミの両親は離婚していたし、長の候補であるキミの親権に関して、揉めに揉めていたことしか知らないね。


まぁいろいろあって、最初の神都は地上にそのまま墜落した。お察しの通り、大陸の大部分は消し飛んだよ。


うん、そうだね。


キッカケはあったにせよ、度が過ぎる。当時のキミは正気じゃなかった。あろうことか“最初の水神”様の保管庫も壊して回るんだもの。…天使ももちろん居たさ。“最初の風神”の手引きだったはず。でもさ、アレは途中で投げ出した。


…めんどくさくなったんだろうね…何事も中途半端は最悪だ。


何が何だかわからなくて、結局ボクの記憶にあるのは深淵に侵食された神都だけ。…おぞましかった、叫び声すら上げられない。腐った臭いが至る所からするんだよ。


当時の彼の友人だったクルエッタはキミの暴挙を見過ごせなかった。キミの身代わりをしたのさ———言ってる意味がわからない?


あぁ、そうだ前提を言っていなかった。


“最初”において、()()()()()()()()()()()()だ。もしくは被害者。友達でも知り合いでもない。


大樹でいつも集まるメンツはボクとセキラとクルエッタ。水神仲間だからか、キミら2人はとても仲が良かったよ。ボクは大樹で日向ぼっこしようと思ったら、偶然2人と出逢ったんだ。


ここら辺の関係は、友情があったと思ってくれてれば良い。体験していない今のセキラにはピンと来ないだろうからね。


話を戻そう。身代わりの話だ。

最初に言った通り、キミは”正気ではなく“、“大きなストレスを抱えていた”、そしてやっぱり“真面目”だった。


正気じゃなかったのは結果の話だけど、大きなストレスと真面目は組み合わされば当然、()()()()()()()()()()患うだろうね。


ボクとクルエッタは当時のキミの状態から、()()()()めいたことになっていると気付いた。


片方はまんまキミ。新しく産まれた方は冷徹って言うのかな、そんな感じさ。


クルエッタは魔法で“冷徹”を引っぺがして———まぁごたごたと、あったってことさ。それがある限り、キミは神都を滅ぼす運命にある。というか、今後の世界のために、誰かが神の時代を終わらせなきゃいけなかった。


…うん。肝は誰でも良いってことだよね。

ボクでも良いわけだ。


どうせ罪があるから輪廻はしなければならなかったし、友達が苦しむのは嫌だった。だから今こんな事にした。無関係の被害者を巻き込んだ。彼女の好意も利用し続けている。


セキラの疑問の回答にはなったかな?


…はは、ボクも割と父さんに負けず劣らずのクズかもね。だって自分が加害した子を好きになっているんだもの。


いやでも意外と大変だったんだ。裏からの根回し。メイテイの出生を早めるために、恋のキューピットもしたし…どうしてもクルエッタにここら辺の事情を知って、納得してもらわなきゃいけなかったし…セキラの事情を緩和する必要もあったからしね。


———聞いてくれてありがとう。

ボクを信じてくれてありがとう。

でも、もうしなくて良いよ。


***


ぱちん


いつの間にかビフェリオの涙は乾いていた。


「ところで、そろそろ神都は消えるけど平気かい?」

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