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神に祈って  作者: ロヒ
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約束して

「チッ」

「あっ、今舌打ちしたわね!」

(なーんで付いてくるのかなぁ)

ビフェリオに頼まれた噴水の水を止める為に1人で町の奥まで行こうとしたが、勝手に付いてこられた。

「1人で大丈夫です。ここの地図はもう既に見つけてありますし」

「それじゃあ寂しいでしょう」

「言っておきますが、あなたの事は友人とも思っていません。過干渉はほどほどににしておいた方が身のためでは?」

「私が気に食わない事理解したって言ってなかったかしら?そういう一方的な理解が嫌なの!」

と言って、頬を膨らませ眉をひそめた。

本当によく思う。何故ビフェリオはこんな人を…いや、これに関しては私がどうこう言えるものではない。やめておこう。

「はぁ、もういいです。でもわたしは火神が嫌いなので、それだけは覚えておいてください」

すごく、鋭い目でこちらを見てくる。だが気付かないフリしてそのまま歩を進めた。熊と正面から喧嘩をする馬鹿はおるまい。

「ねぇ、セキラ1つ聞いても良いかしら」

「…何でしょう」

「何で火神が嫌いで風神は平気なの?」

「どちらも嫌いですよ。ただ、ビフェリオが例外なだけです。あなたも多分そうでしょう?」

「そうね。でも貴方のことも例外にしたいのよ。相互理解に会話は必須よ?」

「それで共通話題のビフェリオですか…」

「いつか私を友人と思えたら、彼と初めて会った時の話を聞かせてね。きっと、面白いでしょうから」


メイテイはセキラよりも少し早く歩き出した。

(ずっと、彼女はわたしのことが嫌いだと思っていたけど…そうでもないのか?)

セキラは速度を変えずに自分のペースで歩いて行く。

メイテイは明るいには明るいし、フレンドリーだったが、壁がないかと言われればただ距離を近くしているだけのようにも感じていた。今はそれがない。ただ上機嫌なだけだろうか。話を聞く限り上機嫌になる出来事なんて起こっていなさそうだが。

(まだ幼いからか?…何を考えているのかわからなくて嫌いだ。この火神…)

セキラの考えは比較的アンドンに寄っている。本当にビフェリオが例外なだけだ。


◾️


やっと目的の水が未だに流れている噴水を見つけた。噴水は高台にあり、周りは開けているため見晴らしがとても良い。

上から見下ろすと分かる。やはりこの町は“もどき”だ。家として見ていた物はただの白い削り出された石。飲料用水の補給原は無く、廃れているが感じる奇妙な清潔感。およそ、生物が長く住める環境ではなかった。


それから、ここにきて分かった物がある。

「セキラ…これって」

「これは…!」

存在だけ、知っていた。

私達が生まれる前、それぞれの最初の神様達が長を務めていた頃、1人の火神が罪を犯した。そして、人が神を殺した。この原因が重なって神都は空に浮かぶようになった。

その2つの事件が起こったとき、()()の存在は確認された。


じょぼぼぼぼ、と流れる水の下。人がいた。と言っても大人ではなく子供。髪は肩まで下ろしている。

それの頭には淡く光る輪。

そして、背には鳥のような真っ白い翼が生えている。


「天使だ」

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