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神に祈って  作者: ロヒ
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親子で喋って

「さて、ビフェリオ。そろそろ親子水入らずの会話でもするかい」


仙人たちが去った宮の中で観葉植物に向かって話した。


「まさか。育児放棄をしたのに、いまだに父親面するつもり?」


背後にひっそりと現れる。突然現れたように見えた。実際は扉から普通に入ってきたが、彼の存在感はそれに気付かないほどに希薄だった。

ファレオは普段凪いでいる心が少し荒れたのを感じた。


「今回もいないと思ってたんだけど…なんでいるのかな」

「別に気にしなくていい」

「父さん、今動けているってことは今までの記憶を引き継いでいるか、未来が視えるかだよ。記憶を引き継ぐのは超低確率。自力じゃどうしようもできない部分さ。それなのに父さんは動けるってでき過ぎてる」

「これぞ運命、だぜ?」

「運命は【天】が決めている。ソレが動けないからこうやってみんな未来が視えていないんだ。少なくとも、今起こってること全部にカタがつくまで運命なんて存在しないよ」

「じゃあ奇跡で」

「はぁ……父さんが今動けているのは意図的にやったものなんだね?」


外見も仕草も似ているが、とても親子には見えなかった。育ち方の違いだろう。どちらも育ては同じだが、時期が違かったのが大きな原因だ。


「あ、そう。オレ“最初の水神”様側に付いたから」

ファレオは問いに答える気がなかった。

「ボクの邪魔をするって?」

「早まるなよ。あの方の目的はひとつだけだ。“最初の風神”様の研究を妨害するっていうだけ。それ以外に指標は無い。だから天使の試験データがこれ以上集まるのは困るんだ」


観葉植物の光沢ある葉を摘む。


「ボクとは関係ない事情だよね。自由にやっていいよ。やっぱり“最初の風神”様が一番どうしようもないから、その対応してくれると助かるし」


諦めも混じったような声色で喋る。


「“最初の水神”様にもキミのことは邪魔しないようにと言われているんだ。オレの役目は終わったし、地上に帰ってるよ。あぁでも地上に被害が出ないように…火神のお嬢様に手を貸すのも良いかもな」

「…」


ビフェリオは眉間に深い皺を寄せたが、口を開くことはなかった。睨むような視線を向けられると、ファレオは肩をすくめた。


「まったく、対応をひとつにまとめたらどうだ?殺すのか、殺さないのか。流石にどうかと思うぞー」

「…」

「壁を作ると長用の連絡機から届いた。差出人は長じゃなくて、オレの今の上司だがな。彼女は神都が落ちた後のことを考えてるようだ。割と火神らしく現実主義だよな。理想論好きそうだけども」

「わかってるなら早く地上に行ってくれないか。未来が視えてるなら、わかってるでしょ」


ファレオは自分が地上に行く必要がある心当たりがあった。そして憶測通り、彼は神都が落ちることは望んでいないようだった。


「今大樹は枯れている。最初の神様…火神様は除いて、皆この時代に介入してきた。ペクトと縁のある人間はいるわ、むかーしの事件を経験した仙人はいるわ、よくわからんエルフに加えて、風神と縁深い魔女まで纏めて来るときた。そしてとっとと帰って欲しかったが、ドラゴン族まで介入しやがる。マイルドに言うと神都は割とヤバいだろう。今から質問な?」

「なに」


ビフェリオは上着のポケットに手を入れて、しかめっつらをした。彼がなかなか人に見せない不満げな顔だ。


「この中でキミがやったことは何だ」

「ないけど」

「じゃあ逆に何やったんだよ」

「メイテイとセキラにもう使えない天使を見せた、メイテイを脅した、ぐらい」

「他は?直近で」

「無いよ。ボクはまだ神都に小指の先も触れてない」


無実を証明するかのように手の平を見せた。


「父さんが言っていたこと、あれ全部みんなが自発的にやり出したことなんだよ。すごいよね」


他人事のような口調だった。


みんなが自発的にやるようにその以前からいろいろ仕込んだのはビフェリオだが。


「で、父さん。ベルランくんに余計なこと言わないでよね。ボクは釘刺しに来ただけ」


そう言ってビフェリオは長の宮を後にした。


(アイツ、勝つ気は毛頭ないな)


ファレオは知っている。彼の行動の起源を。

対話してわかった。彼はもう、起源を忘れて突っ走っているだけだった。止まれないだけだった。


“最初の水神”様には神都で“最初の風神”様を見つけるように言われている。ビフェリオには地上へ行けと言われた。十中八九、壁を作るにあたり固有魔法を活用しろとのことだろう。


(さて…どちらに沿おうか)


腐っても、ファレオにとってビフェリオは自身の愛した人の子供だった。

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