幕間2
瓦礫だ、瓦礫の雨が降る。
足が痛いな。冷たいな。動かないな。温かいな。頭が痛いな。部屋は暗いな。泣き声がするな。
でも炎はごうごうと、瓦礫に足を潰された私を照らしていた。
元は室内、だが今は満天の星空が頭上に昇っている。至る所で爆発音が聞こえる。もうすぐイエコト祭だというのに、装飾はほとんど炭になってしまった。
とても悲しい。だが、涙を流せるほどの体力はない。少なくとも、惨めな顔で死ぬことはないから不幸中の幸いだろうか。
視界を開けばただの肉となった火神が見える。天使の矢は正確に獲物を撃ち抜いて、血を纏って地面にたどり着いた。
臭い。生命力の残り香だ。
「お父様ぁ」
誰が奪った?
「お母様ーぁ」
誰のせいだ?
「アンドンー」
私の居場所を一体誰が?
私は“最初の火神”の孫で、現火神の長の娘として育てられてきた。不自由のない、幸せな生活だった。たとえ、外へ出られなくても。
お父様は私を助けられない。長だから、火神の存続を優先させなければいけない。
お母様は私を助けられない。随分前に病に臥せったから。
アンドンは私を助けられない。もう死んだから。
「私達は何もしてない!」
揉め事なら内輪でやってちょうだい、私達を巻き込まないで。明日は久しぶりにお母様と会えるはずだったのに。最悪だ。
どうして無関係でいさせてくれないの?
どうして、他人を巻き込もうとするの?
これを起こしたのが風神だか水神だか知らないが、今すぐにでもぶん殴って罵倒してやりたい。お前の我儘に付き合ってられないって。昔は他種の神とも関わってみたいと思っていたが、今はもう違う。
火神には、もう二度と関わらないで。
貴方と来世で出会いませんように。
せめて地獄に堕ちて苦しみなさい。




