回想(3)
「やあやあ」
「…」
「見向きもしないのか。少しこっちにおいで。すり減った魂の復元は出来ないが、誤魔化すぐらいはやってみせよう」
「…?」
「キミは自分の行くべき“終わり”を既に視てるんじゃないか?それに従うだけさ。それで罪は清算される」
「!!!」
「怖い?ボクも視たけどあれだけで済むんだ。これほど楽なものは——」
「ひ、人?なんで?いつもは…」
「あぁなんだそっちか。でもまぁボクが人の姿で現れたのもキミの悪あがきのお陰だよ」
「どういうことでしょう?」
「おめでとう、ビフェリオ。キミは偶然を手にした。時間のズレだね。具体的に言うなら、今までに出会ったボクよりもっとずっと昔のボクに干渉している」
「昔?」
「あぁ、“最初の風神”として長を務めているボクだ」
「そんな事が起こるんですね」
「いや【天】は基本、こういった予想外を見逃さない。見つけられたら即座に潰してくるだろう。これが何を意味するか分かるかい」
「もしかして【天】は今、居ないんですか?」
「惜しいね。あれはやるべき仕事が一杯あってキミに割くリソースがないんだ。小物認定だよ。嬉しい?」
「…はい、とても!」
「まぁでもこれで多少の好き勝手が出来るようになる。キミの一番の障害となる人物は最初に殺してしまえ」
「大丈夫です。今度は、クルエッタを殺せます」
「それでいい。運命は分岐した。ボクにもやらなければならない事が山程ある。ここらでお開きにしよう」
「あの、今の時間軸って」
「天使が使用される、3日続く神の大量虐殺の初日さ。後世じゃ最終日に“イエコト祭”が開かれるんだってね」
「いつまで【天】はこちらを見ませんか?」
「そうだな、本来はあと3日だ。だがそれだと意味がない。最後のチャンスだからね、このボクも全力を出してあげよう」
「!」
「ボクの魔法を使って3日を1000年ちょっとに引き延ばす」
「え!?」
「なに、ただ感じる時間の流れが遅くなるだけさ。歴史上は3日間の戦いのままだ」
「意味が、分からないですね」
「キミ程度に分かる魔法じゃないさ」
「…覚悟はできました。ありがとうございます」
「その期間内のどこかで計画を実行してくれ。神都を消すんだからね、準備はやり過ぎぐらいが丁度良い」
「すいません。皆様方が必死に守った神都を…」
「別にいいさ。問いかけはもう要らないよね」
———僕はひたすらに生存を望む。




