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神に祈って  作者: ロヒ
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振り向いて

ふとした時に思うのだ。

果たして貴方はそんな人だったか。

風になびく緑の髪も、遠くを見てる瞳も、空のような澄んだ声も何一つ私の記憶と違わない。

でも、私が好きになった彼ではない。

何が違うと思うんだろう?


「セキラ…これはもう聞かなきゃ駄目でしょう」


このまま放置していてもしばらくは平気だろう。でもいつか必ず大変な事になる。ここに来るよう促したのは他でもない風神だ。ここまで誘導された以上、私達は何かをする必要がある。


「何を?」

「天使の事含め今後の未来のことよ」

「聞いても答えないでしょう」

「答えさせる。天使が関わっているのは確実なんだもの。これから起こることは神都全体を揺るがすと思って行動した方が良いわ」


1度目に天使が現れたときは“最初の火神”の従者だった火神が罪を犯したとき。

彼女は人間と交わるという大罪を背負ったせいで血縁も公開処刑された。初めての大罪人ということで多くの神達が興奮した。


2度目は人間が神を殺した。

不幸なのは1度目の直後だったこと。今とは違って神都は空に浮いてなかった。だから地上にいる人間も入ってこようと思えばいつだって来れたのだ。


神都中が興奮して騒ぎ立っている中、悪意を持った者が大勢攻め込み、神は対応しきれず大勢死んだ。火神はその中でも一番被害が多く出た。


「先見の明はあるほうなの。今だけでいい。信じて」

セキラは考え込んで少し黙った。

「…わたしは遠慮しておきます。天使の内部を調べたいので」

「砕いちゃったわよ?」

「今は少しでも情報が欲しいので」

「じゃあなんで私の案、渋ってたのよ」

「今のところビフェリオが全て仕組んでいる黒幕のようなものでしょう?彼とわたし達では対等ではありません。情報量に差がありますし、まだ彼の思惑を把握できていない。その状態では話し合いにもならないでしょう」

「【天】は黒幕じゃないの?」

「不明な点が多く、この世界に出現したのは“最初の神”達が生まれたときだけなので考えません」

「もしそうだったら?」

「諦めです」

「私は嫌よ」

「ならば1人で生きてみてください」

「それはもっと嫌ね」


冗談めかしてこんなことを言うなんて珍しい。

もしかしてふざけるの実は好きなのか…?


立ち上がって体を伸ばした後、セキラが言った。


「メイテイ、ビフェリオは多分舞の練習をしているはずです。場所は分かりますか?」

「んー、前に練習場のことは聞いたわね。そこなら分かるわ」

「それです」


(…練習場の話も仕組んでいたことの一つなのかしら)


ビフェリオの顔が頭に浮かぶ。


あ、分かった。彼じゃないと思う原因。

ビフェリオってあんな笑い方だったっけ?


メイテイの脳裏には、覚えていない記憶があった。そんなことあったっけと思うぐらいの。本当に実感がないのだから、不思議なものだと思った。

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