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「セリーナ。大旦那様の閨に侍りなさい」

「はい、奥様」


セリーナは見た目は変わっていないものの、右足首に公娼の足輪をはめている。

その足輪がセリーナの思考を最小限にする。

あの高飛車だった態度は鳴りを潜めて()として従順になった。

顔と身体(見た目だけ)はいいのだから、従順な性奴隷として悦ばれている。


エバンスに嫁入りした初夜以外、セリーナはコウロベッガー家の公娼として家族や使用人たちに命じられるまま夜伽を繰り返している。

その姿は昼夜問わず、使用人たちの褒美として使われている。

エバンスにとって辛い日々だ。

彼は恥ずかしい顔(ペインティング)のため外に出られない。

よってセリーナ同様、婚姻を理由に学園を退学した。

彼は屋敷の奥まった場所に部屋を与えられて書類仕事をしている。

その隣が『セリーナの仕事場』なのだ。

昼夜問わず聞こえるセリーナの喘ぎ声。

しかし、居候の立場であるエバンスは当主の許可なくセリーナを抱けない。

かちゃり、と両足首につけられた足輪から伸びる50センチの鎖が小さな音を立ててその存在を主張する。

エバンスの今の立場は労働奴隷なのだ。


エバンスは招待状の清書をひたすら繰り返す。

内容は『セリーナのお披露目』のための夜宴だ。

それにあわせて、セリーナは調教を受けている。

いまエバンスの祖父、()()()()部屋にいっているのも調教師である大旦那様のご指導を受けているからだ。

夜宴では獣姦すらある。

はじめて参加したエバンスが興奮して、舞台で直接手解きを受けたのもその夜宴だった。

意識は様々な物事に向けて拡散しているが、手は本人の意思とは関係なく動き続けている。

今は招待状のあて先をリストにそって書いている。

このリストが派閥の結束を物語っている。

弱み(これ)があるから、如何なる悪事にも協力しあっている。


貴族籍を抜かれて奴隷になって、初めてエバンスは()()()()()()を知った。


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