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報告


食事を終えた二人は、迷宮での変化を報告するために迷宮管理部に向かっていた。

「夜桜さんはいらっしゃらなくても、私が伝えておきますよ?」

紗雪は、隣を歩く律に話しかけた。

「いえ、報告であれば証人が多い方が良いでしょう。俺も行きます。」

二人は域内の細かいことを話しながら管理部に到着した。




二人は管理部に入ると、窓口の職員に迷宮での異常について話していた。

「深層で通常ではありえないほどレベルの高い魔物と遭遇しました。」


「あなたたちもですか………」

紗雪が伝えると、職員は何かを考えこむような顔をしてつぶやいた。

「あなたたち?私たち以外にも同じ報告が上がってるんですか?」


「はい。現在、管理部長室で事情聴取を行っています。」


「事情聴取?」

律は不思議そうな顔できく。

「ええ。そちらの方々では、犠牲者が出ているので。他にも異変の報告が今日の朝あたりから少しずつあがっています。」

職員は暗い表情になり、返答する。


「まだ話していると思います。管理部長室にご案内します。」

職員は有無を言わさぬ様子で律たちを奥へと案内する。




「入れ。」

職員が部屋をノックすると、すぐに返事が帰ってくる。

「迷宮異常についての報告がありましたので報告者を連れてまいりました。」


「そうか。二人ともそこに座ってくれ。君たちはロビーで待っていてほしい。」

部屋にいた人物は律と紗雪に席に座るよう指示し、中で話していた探索者達は、暗い様子で律と入れ替わるように部屋から出てゆく。

「私は迷宮管理部長の酒井だ。迷宮異常について詳しく教えてほしい。」

紗雪は迷宮での出来事について先程よりも詳しく報告する。


「そうか。」

酒井は難しい顔をして考え込む。

「立ち入り制限をかけるべきです。」

酒井の後ろで立っていた職員が提案する。


「ああ。まだ深層でのことだから、地上に出てくるまでには猶予があるだろう。地上に出てくる前に、迷宮内で何とか片づけたい。」


「あの………。どうして迷宮内で片を付けたいんですか?迷宮は壁で囲まれているので、狭い迷宮で大量の魔物と戦うよりは出てきたやつらを殲滅するので良いような気がするんですが。」

紗雪が酒井の言葉に反応する。

「それは………」

酒井は眉間にしわを寄せ、言葉に詰まる。


「魔物が迷宮を出ると、統率が取れた動きをするようになる………。正確に言えば、知性を感じさせる動きをする個体が生まれる可能性があるから、ですよね」

律は酒井の言葉に続く。

「どうしてそれを………。」


「あっ」

(これって普通は知らないやつだったか?霊樹からの情報だけど、緊急事態だし、桜聖のことは登録の時にばれてるしいいか。)


「そんなことが。」

紗雪と職員は驚きに目を見開く。

「どうして君がそれを知って………」


律はカードを取り出し酒井に見せる。

「桜聖!?なるほど、最近新しい桜聖が生まれたという噂は本当だったのか。」

酒井はカードを見ながらつぶやく。


「桜聖殿、迷宮異常が確認されました。夜桜に協力を要請する。」

酒井は律をしっかりと見据えて頼む。

「管理部は流派から切り離された独立機関で、臨時の際には流派に協力を要請できます。この場合、基本的に要請は断れません。」

混乱している律に、紗雪が耳打ちする。

「なるほど。ありがとうございます。」

律は小声で紗雪に礼を言い、酒井に返事をする。

「分かりました。」






 律が酒井に協力を約束し、相談を進めていると部屋の外が騒がしくなり、一人の職員が慌てた様子で入ってきた。

「ノックをしないか。ノックを、」

酒井が職員をたしなめるように言うが、職員はそれどころではないといった様子で声をあげる。

「迷宮の浅い階層で高ランクの魔物が確認されました!!近くにいた有志の探索者達で抑えてますが、2階層まで魔物が迫っています!」


「なんだと!?想定よりずっと速い・・・・・・」

酒井は席から飛び上がり大声をあげる。

「酒井さん!探索者の指揮をお願いします!2階層を突破されれば地上まではすぐです!」


「分かった!!桜聖殿、探索者とともに戦っていただけますか?できれば高ランクの魔物をお願いしたい。」

酒井は急いで装備を身に付ける。

「分かりました。行きましょう。」




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