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事件



東都郊外ーーーー

「五十嵐さん!こっちっす!」


「おう、今行く」

五十嵐が険しい表情で現場に入ると、そこには五人の人間の遺体が横たわっていた。

 五十嵐は慣れた様子で、目をつむり、合掌する。


「おい、分かってることは?」

五十嵐が先程まであたりをせわしなく動き、情報を集めていた田代に向かって言った。


「それが、まだほとんど何も分かっていないみたいなんすよ、身元もこの様子じゃ、はっきりしないっすよね。ただ、おそらく死因は焼死だろうとのことです」


「ああ……わかった。もう少しこの辺りをまわったら署に戻るぞ、」

五十嵐は少し何かを考えこむようにしてつぶやく。


「了解っす」


ーーーーーーーーーーーー

<東都所轄警察署>


「また難事件になる気がするっす……実際、何もない場所で突然燃えるなんてあり得るんすかね、」

田代が、まとめられた捜査資料を読みながら五十嵐に話しかけた。


「わからん、だが実際燃えたということはあり得るということなんだろう……」

一通り資料を読み終えた五十嵐が、ため息交じりに返す。窓から空を見上げながら五十嵐は続けていった。

「だが自然発火で人が燃えたとは考えにくい。必ず他の人間がかかわっているとみていいだろうな。」


 東都の空にはどこか不穏な気配を感じさせる、コンクリート色の雨雲が立ち込め、雨がぽつぽつと降り始めたところだった。


ーーーーーーーーーーーー

<夜桜家 裏山>


「はぁ~ほんとに疲れた」

鼠色の雨雲が立ち込める中、俺は裏山の開けた空間で大の字になって転がっていた。


「なんとか一日でものになったか。」

内気功の難しさを体感した後、必死に気の調節の練習を繰り返し、ようやく力のコントロールに成功していた。


「これでなんとか明日は学校に行けるな。」


疲れ切って寝ころびながらも、律は満足げな表情を浮かべていた。毎日いろんなタイプの修行をやってきたが、このタイプの修行は経験がなく、新鮮だったようだ。


「ひとまずこれで安心だな、、、」

残りがわずかになった水筒の水を口にしながら、安心したようにため息をついた。

(なんとかスーパーマンみたいな力のままで過ごさなければならないという事態は回避できたな)


「まったく、あのままだったらなんの罰ゲームだよって話だ。」

あのままではろくに食事もできない。家の何かを破壊して過ごすのも、最初はよかったが、うまくいかないことが多いと、なかなかのストレスだった。


「今日は帰るか」

(腹も減ってきたし、今日はとりあえず家に帰ることにするか。)

俺はだるさを感じながらも立ち上がり、夜の森の中を歩きだした。


ーーーーーーーーーーーー


「ただいまー」

ドアノブが壊れないことにテンションを上げながら家に入ると、じいさんはどうやら風呂に入っているようだった。のんきな鼻歌が響いている。

・・・・いや暴れそう将軍のBGMはのんきな鼻歌ではないか、?


「夕飯でもつくるか」


俺が手早く夕飯の用意をしているとじいさんが風呂から出てきた。

「む、帰っておったか」


「それはこっちのセリフだよ、じいさんは一日中どこほっつき歩いてたんだ?」


「今日は一日警察署で指導しておっただけじゃ」


 じいさんはその武術の腕をかわれ、逮捕術や護身術などの指導のため、警察署に行くことが多々あった。

 その度にじいさんはしっかりと訓練しないと武道家のくせして警官にも負けてしまうぞ、などど言って修行が厳しくなる。


「ああ……相手に怪我させたりしてないよな、?」


「そのくらいの手加減は心得ておるわ。それより、律もしっかりと訓練せんと、武術家のくせして銃をもってこられれば、警官にも負けるかもしれんぞ?」


「銃持ってこられたらしょうがないだろ……」

最近は警官に負けるといわれることはなくなったが、今度は「集団でくれば」、とか、「銃を持つ奴と対峙すれば」などと、すでにかなり詰みに近い状況を想定して修行を厳しくするようになってきた。


「甘い、やはり修行をもっと追加せねばなるまい」


「…………」


「律、修行は嫌いか?」

突然、じいさんが珍しくまじめな面持ちで聞いてくる。少しいつもとは違うじいさんの様子に、驚いたがそれを隠すように努めていつも通りにこたえた。


「は……?突然どうしたんだよ、別に嫌いじゃないけど……」

するとじいさんはしばらく俺の顔を見た後、ニヤァといやらしい笑みを浮かべ笑いながら言った。


「そうか、じゃあ遠慮なく追加だな!」


(変な雰囲気出してだましやがったなこのくそじじい!)





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[一言] 物を壊したことを何も言わないし言われないのはなんでですか? 置き手紙に記されていたとしても触れないのはおかしいです。
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