紋
その後の会議では皇桜蝶の処遇についてが話し合われ、結果として皇桜蝶は一階級下の桜人に降格となることが決定した。
評価は、実力、貢献度、態度などの観点から話し合われ、皇はすべての面から桜蝶にふさわしくないと評価された。
桜人以下とそれ以上では明確に格の違いが存在する。
桜人の定員は12から20人であり、定員は実力にふさわしい者の増加とともに増やされるが、桜蝶からは定員が明確に決まっている。
これらの観点からも、皇の桜蝶としての起用は早すぎた、との結論で会議は終了した。もともと皇は派閥闘争の結果として異例の抜擢であったこともあり、会議はすんなりと終わった。
「律、今日の仕事はこれで終わりじゃ。あとは道場へ行くもよし、町に出ても良いじゃろう。それと、これを、できれば早めに行っておけ」
龍玄は一枚の紙を律に渡してきた。
「ありがとう。これは?」
「お前の知り合いがいる場所が書いてある。あと、カードと桜聖の紋章を持ち歩いておけ。10階にあるはずだから」
龍玄は少し目を伏せた後、階段を登っていった。
(俺の知り合い?)
律は不思議そうな顔をしながら、龍玄に続いて階段を登る。
「10階までは私が案内しよう。」
五十嵐は律の一歩先に出て歩き始めた。
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「これが桜聖の紋章だ。むやみに使わないように。特に律くんはまだほとんど顔を知られていない桜聖だ。顔を知られていないことは、時にアドバンテージにもなりえる。そのあたりは自分で考えて行動してくれ」
五十嵐は律に、黒に桜の花びらが付いているICカードのようなものと、黒い指輪、ネックレスなどの装飾品を取り出した。
「装飾品には紋が彫ってあり、呼び出しがあると少しひかり、魔力を出すんだ。時間があれば服か刀に紋を彫るんだが、どうする?」
五十嵐は急ぎの用事がないなら紋を彫りに行こうか?と言いながら装飾品を律に見せる。
「それじゃあ彫っておきたいです。刀で良いですか?」
律はカードだけ受け取って返事をする。
「了解した。それではこれから行こうか。6階に窓口があるから」
五十嵐はさっそくと言ってまた移動を開始した。
「ここで紋を彫る。こちらは彫師の月見さんだ。」
五十嵐は窓口を素通りして中に入ると、中にいた人物に話しかけた。
「どうも、月見です。」
月見と呼ばれた女性は立ち上がってあいさつした。
「私は夜桜律です。今回はよろしくお願いします。」
「ええ。紋のことなら任せてください。刀で良いですか?」
月見は人のよさそうな笑みを浮かべ、律の持っている刀を見た。
「それにしても、五十嵐桜聖が直接ご案内されるとは、今回の紋はどの階級の紋ですか?」
月見は五十嵐に話しかける。
「今回は桜聖の紋の刻印をお願いする。」
五十嵐は苦笑いしながら月見に告げた。
「あら。桜聖殿でしたか。これは失礼しました~」
月見は律を見ると軽く礼を取った。
「いえ。気になさらず。」
「ありがとうございます。それではすぐに刻印いたしますね」
月見は律から刀を受け取ると、作業台にのせ、作業を始めた。
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「できました。三か月後にもう一度持ってきてください。最初は魔力がはがれやすいので」
月見は商売スマイルを浮かべながら出来上がった刀を律に渡した。
「わかりました。ありがとうございます。」
律と五十嵐は月見に挨拶した後、その場を後にした。
「今日することはこのくらいです。今日はひとまずこれで解散にしましょう。」
五十嵐はそう言うと階段を登っていった。
「さて、やることもないし、俺の知り合い?がいるところに行ってみるか」
律はそうつぶやくと、紙に書いてあった場所を目指し歩いて行った。




