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説明


「人事部全員が武道場から上がってくるまでしばらくかかるじゃろう。五十嵐は律に域内のことを少し教えてやってくれ」

人事部の会議室についた龍玄は五十嵐によろしく、と言いながら部屋を出て行った。


「それでは、下のやつらが上がってくるまでの間に少し話そう。」

五十嵐は口調を柔らかいものに変え、律に話しかけた。

「はい。よろしくお願いします。」


「何から話せば良いか……。そうだな、域内にある四大流派についての話から始めようか。域内には四大流派と呼ばれる大きな力を持つ武道の流派が4つある。この夜桜流もその一つで、ここ、西方面を中心に勢力圏をつくっている。

 他には、東に東雲(しののめ)流、南に震天(しんてん)流、北に麗梅(れいばい)流、と呼ばれる流派が勢力圏をつくっており、中央には中央府と呼ばれる、前の世界での行政組織のような巨大機関がある。


 各流派はそれぞれ主要産業をもっていて、夜桜流では医療・鍛冶・結界など、他にもいろいろあるが、一番有名なのは医療だな。それと……、夜桜流は東雲(しののめ)流と少し仲が悪く、震天流は麗梅流と少し仲が悪い。仲が悪い流派は地理的に正反対に勢力圏が位置している。あと、四大流派と中央府は互いに仲が悪い傾向にある。


 一方で、夜桜流と麗梅流、東雲流と震天流はそれぞれ良好な関係にある。麗梅流は、ほとんどの門下を女性が占める流派で、特殊な細剣を扱うのだが、その細剣の製造には高度な鍛冶技術が必要なため、夜桜流が持つ鍛冶技術の供与を受けている。ちなみに、麗梅流は衣服、装飾品、錬金術などが主な産業だな。小麦や家畜などは、流派への所属意識の低い地域で生産されている。少し長くなってしまったが、ここまで大丈夫かな?」


五十嵐は一気に話をすると律の顔を確認するように見る。


「なるほど。所属人数とかはどうなってるんですか?」

律は首をひねりながら五十嵐に質問した。


「所属人数では中央府が最大だな。その次は東雲(しののめ)流、夜桜流、震天流、麗梅流とつづく、と思われる。四大流派は明確な所属人数を明らかにしていないから、あくまで、思われる、だが。

 中央と聖域の端の間の丁度勢力圏から外れる地域では、違う流派の者が同じ道場で腕を磨いていたりする。所属意識が低い、とはそういうことだな。

 そういう場所では体格に合わせて流派を選んだりするらしい。力の弱い傾向にある女性は麗梅流、ガタイが良いと震天流とかで。他には、こまごまと少数派の流派が点在している。

 それと、域内では基本的にどこかの流派に入るのが当たり前、となっているな。迷宮が各地に点在してるから、魔物に対する防衛力を高めるために一般人が武器を持つのが当たり前の世界になった。なってしまった、」

五十嵐は何かを思い出すように天井を見上げる。


「どうして剣を使って、銃火器を使わないんですか?」

律は聖域に入ってから疑問に思っていたことを五十嵐にきく。


「そうだな……銃火器はレベル15以下の者に対してはそれなりに有効だが、15以上からは"避けれなくもない"になり、25を超えると"当たっても割と平気な兵器"となる。

 銃火器の作成には貴重な金属や高度な技術が必要であり、コストパフォーマンスが悪い上に、銃弾に魔力を籠めるのが難しいため魔物に有効ではない。となれば生産しようともしなくなる。

 中央府の役人は持っている奴もいると聞くが、どちらかと言えば趣向品に近いな……。私も刑事時代の銃を部屋にもっているがほとんど使ったことはないな」

五十嵐が"平気(へいき)兵器(へいき)"で少しドヤっとしたので、律は反応に困りながら笑みを浮かべた。


「そういえば、域内の人のレベルってどんな感じなんですか?」


「レベルは、そうだな、平均は20くらいで、私や桜主は150くらいだな。おそらく私や桜主が最高クラスだろう。迷宮や域外に行かない者はレベル5くらい。流派に所属する者でも50くらい。80であれば流派幹部レベルだな。

 100を超えたあたりから寿命経過の遅延が感じられるようになる。レベル70でもほとんど病にかからなくなったりする。このような副次効果によってレベル100以下でも寿命は延びる。健康寿命が延びる、と言った方が分かりやすいかもしれないな。


 200になればほぼ寿命はないと思っていいらしい。これは霊樹からの情報だが。この寿命の延長のせいで、現在、夜桜流では桜聖や一部桜蝶とその他の門下とで実力差が開いている。

 レベルが65を超えた者は健康寿命が徐々に延び、レベル上げでどんどんレベルを上げるが、この壁を越えれない者はそのまま生涯を終えてしまう。つまり、実力の二極化が徐々に顕著に見え始めつつある。

 そのせいで実力が伴わない者が幹部の席に座ってしまう、という事態がまれにあるんだよ。他の権力闘争も絡んではいるが。」

五十嵐は顔をしかめながら説明した。


「とても勉強になりました。ありがとうございます。そろそろ始まりそうですね。」

律は全員がそろった部屋に龍玄が入ってくるのを見つけ、話を一度切り上げた。





          ー北ー

          麗梅流

            ↑

  |夜       ↓         東|

  西桜  ⇔  中央府  ⇔  雲東   

  |流       ↑         流|  

            ↓

          震天流

          ー南ー


⇔仲悪いマーク


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


          ー北ー

          麗梅流


  |夜              東|

  西桜      ⇔      雲東

  |流     仲悪い     流|


          震天流

          ー南ー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


          ー北ー

          麗梅流


  |夜      ↑       東|

  西桜     仲悪い     雲東

  |流      ↓       流|


          震天流

          ー南ー


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