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試験1


「ちょ、挑戦します。」

おずおずと手を挙げたのは皇だった。

「ここで言ってくれてありがたく思う。ではさっそく道場で手合わせしようか。」

律はそう言い、手を挙げた皇の方を見る。

「あなたは、エントランスの……」


「皇、お前はすでに夜桜桜聖にエントランスで突っかかり、膝をついたときいたが、それでもやるというのかね」

五十嵐は立ち上がった皇を見てい言い放った。

「あれは、そうです。スキルを使っていれば結果は変わっていたでしょう。入り口で騒動を起こしてはならぬと考え、スキルは使用しなかったのです。」

皇は必死で取り繕うように早口でまくし立てる。

「そうか、スキル無しでは完敗であったが、スキルありの結果は違うと、そう言いたいのだな。」


「完敗、、では、ありません。門外の者と勘違いしており、不覚を取ってしまったのです」

皇は汗を流しながらこたえる。

「無様に転がされておいて完敗でないと、油断も含めてお前の実力だ」

五十嵐は厳しい刺すような眼差しを皇に向ける。


「五十嵐桜聖、どっちにしろ、手合わせしてみればわかることです。」

律はそう言うと皇を見据える。

「だが、桜聖に簡単に挑戦できると思ってもらっては困ります。それ相応の覚悟を問わなければ。」

五十嵐はそう言って引かない。


「二人とも、そのくらいにしてくれ。皇、話によるとおまえは門外の者に門の階級を利用し圧力をかけたらしいな。」

龍玄は二人を止めると皇に話しかける。

「いえ、そのようなことは」


「最近のお前の行動は目に余るところがある。今回実力を示せなければその席から降りてもらうことも覚悟してもらおう。その実力を見る試験として、今回は夜桜桜聖に協力してもらいたい。これであれば問題なかろう」


「なるほど、素行不良の桜蝶の試験官として桜聖が相手を務めるのならば、たしかに問題はありません」

五十嵐は律によろしく頼むぞ、と言って下がった。

「よろしい。ではそうしようか。皆、別棟の第一武道場にて試験を執り行う。」


「それでは移動しましょうか」

伊織がそう言い、龍玄に従って外に出ると、集まっていた者たちも一斉に動き始めた。


ーーーーーーーーーーーー


「それでは、これより試験を執り行う。」

龍玄は全員が第一武道場にいることを確認した。

「スキルの使用も含めて、技量を見たいと思う。桜蝶としてふさわしいか、立会人は桜主の私。ここにいる全員が証人となる。二人とも良いかな」


「私はかまいません」

律は皇と間隔をあけて向き合った。

「わかりました」

皇はしぶしぶといった様子でうなづく。


「儂の合図で始めてもらおうか」

龍玄は腕を水平に構え、準備する。


「わかりました」

律は『気』を練って身に纏う。

律の前に立つ皇も魔力を纏い身体強化を発動する。


周りで見ている者たちは、三者三様の反応をみせる。

「桜聖は身体強化を発動してないが大丈夫なのか?」

「なにか策があるんじゃないか?」

「だが、よく分からない存在感が桜聖から出ているように思えるぞ」

「ああ、さっきの部屋では凄まじい殺気のような重圧だったが、魔力は感じなかったよな」

「まあ、見てれば分かるんじゃないか?正直皇桜蝶が桜聖になったら最悪だが、そこは他の桜聖達が何とかしてくれると信じようぜ」

「あんまおっきい声で言うなよ」



 律は皇のステータスによる強化とそれに上乗せされる魔力の身体強化による効果のことを考えていた。

(霊樹によると、普通の人は魔力で体を強化して戦うらしいからな。どのくらいの効果がでるのか。見てみないことには分からないよな。とりあえず油断せずに強化しておくか)

律はさらに『気』を強く纏って強化する。


律の周囲の景色がゆらゆらと歪み、武道場が軽く揺れた。


「エ、エントランスでは不覚を取りましたが、今回は負ける気はありません」

皇は魔力を全く感じられない律は、身体強化をしてしまえば自分の相手ではないと考えていたが、目の前の律の様子を見て、警戒を強める。

(なんだっていうんだ!桜聖にさえなれば、全てうまくいくのに!やつからは魔力を感じない。きっと強化した私の相手ではない!)

皇は己を鼓舞して律の前に堂々と立つ。


「あ、そうだ。この武道場はスキルを使っても大丈夫ですか?壊れたりとか」

律は『気』をどんどん強くしてゆきながらきいた。


「この武道場は頑丈な素材でできているし、結界も張ってある。簡単には壊れないだろう」

五十嵐が律の疑問にこたえた。


「そうですか。ありがとうございます。」

律はそう言うと刀を構え、軽く力を抜いて皇の方を向いた。


「それでは、、はじめ!」


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