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西区


 一人になった日から、ひとまず家に潜伏し、生活していた。

 はじめは、暗くなり始めると必ず狼たちが街に出てきて、そのたび狼と交戦するということを繰り返していたが、最近は狼以外の生物も徘徊するようになっていた。


 さらに、コンクリートを突き破って木や草がはえ、東都からはかつての面影が完全に感じられなくなっている。さらに『気』が薄く町全体に広がっている。


 狼を簡易鑑定したことろ、

ーーーーーーーー

種族:黒狼(仙魔獣)


ーー種族スキル

『気功』

  <色>

  『黒』

ーーーーーーーー

と表示された。ほかの魔獣も鑑定したが、その多くも仙魔獣であり、それぞれ<色>を持っていた。



「最近はどういうわけか昼間も出てくるし、ここも危険地帯になってきたな。」


「だが逃げると言ってもな、ほかの区もやばそうな魔獣がうじゃうじゃいるし。」


 ちらっと中央区に入ったことがあったが、明らかにやばそうな黄色の猿たちが大量にいた。

 なによりやばいことは、その地域に猿以外の魔獣がいないことだ。それだけ猿が強い力をもっているということなんだろう。


潜伏中に俺の能力の変化はほとんどなかったが、


ーーーーーーーー

夜桜律


種族:仙人族


ーースキル

『武術』

『簡易鑑定』


ーー種族スキル

『気功』

  <色>

  『青』

  『黒』


ーーーーーーーー


 能力に『黒』が追加されていた。相変わらず、この<色>に関しては、まだよく分からないが、狼の使っていた能力がこれなのではないかと思っていた。


「そう考えると俺もあの影に入るやつができても良い気がするんだが」


何度も試してみたが成功したことはなかった。<色>が使えるようになれば大幅に戦術の幅が広がる。


 それだけに、この状況にはどこか歯がゆいものを感じていた。


「うーん、どこの区にいこうか。」

俺の中には、ほかの区に行けば能力について何かつかめるのではないか、という淡い期待があった。


「よしっ、西区にするか。」

西区と東区で少し迷った後、俺は比較的静かな西区へ行くことにした。



ーーーーーーーーーーーー


「西区は他より森林度が高いな」

森となった西区を進みながらひとりつぶやく。


「食料の確保が問題だな、こういうときゲームとかだとアイテムボックスが便利なんだが、」

当然そんなスキルは持っていない。そもそも存在するのかも分からない。


「なんだかなぁ……お?」


薄っすらと魔獣の気配を感じた。気配を感じ取った方を見てみると、一匹の真っ白な猫がこちらを向いて佇んでいた。


「……!なかなか可愛いな、」

一人和んでいると、猫は素早く俺の方へ進んできた。


(ただの飼い猫がたまたま生き残ったのか?)

猫に寄ろうとしたとき、


「ミャァァァ」

猫が可愛らしい声で鳴き、その瞬間地面からツタのような植物が大量に飛び出てきて、体に結び付いた。


「な!」

急いで気功を纏いツタを破るが、次々と新しいツタが襲い掛かってくる。


「くそっ、魔獣だったか!」

油断したことを恥じながら、猫を鑑定すると、


ーーーーーーーー

種族:白猫(仙魔獣)


ーー種族スキル

『気功』

  <色>

  『白』

ーーーーーーーー


「!!仙魔獣か、!」

鑑定に驚きながら、ひとまず距離を取ろうと、大きく後ろへ跳ねる。


「ふぅ、これが白の能力か、?」

今まで、白の魔獣を見たことはあったが能力を見るのはこれがはじめてだった。

(植物で相手を拘束する能力なのか?)


ドンッ、


「ぐっ」

今度はツタではなく、丸太のような木が飛び出し殴打してくる。

木が次々と出て、襲い掛かる。俺はよけるのに精いっぱいで、防戦一方になっていた。


「くそっ!」

気を腕に集め、思い切り木を迎撃する。


(このまま近づいて一気に決めたい。)


猫のそばまで一気に加速し、襲い掛かってくる木を無理やりねじ伏せる。


「ニャァァァァ!」

「くそがぁぁあ!」

全力で猫を殴り飛ばすと、凄まじい音をたてて、猫は森の奥まで吹き飛んでいった。


「はぁ、ぎりぎりだった……」

確かに手ごたえを感じた俺はつぶやいた、


次は油断しまいと心に刻み、そのまま森の中を進んでいった。


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