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【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。  作者: 望月ナナコ


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83 【千代視点】

前世の記憶ってある?


人はさ、死んだらまた次の人生に導かれる。ほとんどの人間は前の人生の事なんて覚えていないんだろう。千代として生まれ育った私もついこないだまでは前の人生の記憶なんて何一つ持ってなかった。


そう、あの日牢屋で倒れているゆきを見るまでは。


初めてゆきを見た日、頭の中で変な感覚に襲われた。なんだかとても大切な事を忘れているような・・・でもそれはまだまだもやがかかっていて答えは見つけられなかった。


単純に時継様が他の女に触れているのは嫌だったし、頭に血が上った事で冷静ではいられなかった事も関係しているのかなと思っていた。


それからしばらくして状況が変わったのは時継様とゆきが抱き合っているのを間近で見た新月の夜だった。濃い霧で何も見えなかったはずの前世の記憶が少しずつ見え始めた。


昔何かでこの話を見た・・・ゲームだったか・・・アニメだったか・・・それとも携帯小説・・・だったかな?


あの頃異世界転生の話が大好きだった私はいろんな作品を読み漁っていた。そして好きだった話の一つにこの世界とよく似た話があったんだ。元々そういう作品が好きだった私が自分の役割を理解するのは早かったし、自分が重要な役の一人に生まれ変わったのには正直少し興奮したな。


ゆっくりと戻ってくる記憶。でも困ったのは自分の立ち位置は理解出来てもどうやったらハッピーエンドだったかの過程が曖昧にしか思い出せなかった。この作品の中で重要なのは四人。ゆき、時継様、秋道、私。記憶の片隅にあったのは最後何かで揉めて私が落とし穴の中に落ちる。それがハッピーエンドへ繋がっていたはず。


あの日二人が抱き合っているのを見た日から嘘みたいに時継様を好きだという気持ちがなくなっていた。


それどころか自分がどう動くべきなのか考えるのに必死だった。この世界の私と前世の私、記憶がごちゃごちゃになって気持ち悪くなる日もあった。そんな中で祝言の日は刻々と迫ってきていた。私にとっても祝言の日はいまだに大切な日だ。なんせハッピーエンドになれるかどうか、その日に決まるのだから。そして話の内容を思い出すたびに千代として今まで過ごしてきた記憶が一つずつ消えていった。


ああ、確か今日秋道の力を借りて時継様とゆきは逢引するんだったよな。そこで二人は気持ちを確かめ合う・・・あれ?それで・・・その後どうなるんだったかな?なんか私がやらかすはずだとは思ったけど・・・?


物語終盤に差しかかりこの後どうなるかの記憶がどう頑張っても思い出せなかった。そして時継様に気持ちを打ち明けられた日、私は悩む事になる。


まずい・・・どうしよう。どうやったら話が繋がるんだろう?私自身に時継様に対する想いがないとはいえ、物語上はいそうですかとはならないだろう。大体それで進んでなんで私が最後落とし穴に落ちるんだ?自分自身で落ちるんじゃない。何かの拍子にぶつかってとかで穴に落ちなければいけないはずだ。


そうして思考が八方塞がりになった私はとりあえずゆきが祝言の日までどっかで大人しくしていればいいのではと考えたのだ。だから秋道も着いてきたのはかなり予想外だったけど私は秋道の想いを知っている訳だからなんとか説き伏せた。我ながらファインプレー。


前日にゆきと秋道が逃げ出してどうこうは実は筒抜けだった。別にそんなに苦労しなくても当日には適当に理由をつけて屋敷に戻らせる予定だったのに。


というのが私が裏で感じ、動いていた真実でもある。なりきって演じるのも今思えば楽しかったな。でもゆきに伝えた想いは本物だった。


【いつかはさ、誰かの敵役とかじゃなくて自分が主人公になって幸せな人生を歩みたいなって思ってる。誰かを幸せにするためじゃなくて、自分自身が幸せになるために生きたいなって!】


そして強くそう願い私はゆきの前から消えたんだ。

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