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あれから2週間くらいは経ったのだろうか。


寝て目が覚めたら元の世界に戻っていたという展開はどうやらもう期待できそうにない。


『とにかく、これもご縁というものだ。何か分かるまで好きなだけここにいなさい。』


時継様にそう言ってもらえたのでお言葉に甘えて私はこの立派なお屋敷で居候生活をスタートさせた。


秋道さんをはじめ周りのお侍さん達やお手伝いさん、もちろん千代も怪訝な顔をしていたけどここでは時継様が絶対なのだ。


今考えても外に放り出されなくて本当によかった・・・外に出されたら何も分からない私は酷い目にあっていたかも知れない。


そう考えると時継様にはますます感謝しかない。


それからはとにかく怪我をしたままだとどこに行くのにも不便過ぎるので部屋の中でじっとして治療に専念する日々だった。


その甲斐あって最近は痛みも消えて普通に歩けるくらいには回復していた。


『時継様!』


『おお、ゆきか。足はもう大丈夫なのか?』


『お陰様で順調に治ってきています!』


斜め後ろから千代が分かりやすく睨んできているが知らないフリをした。


『あの・・・ちょっと屋敷の外に出かけてきたいのですが・・・。』


『そうか、ならば誰かつけよう。そうだな・・・では、秋道!そなた、ゆきのお付きとして一緒に出かけてきなさい。』


『んなっ!?なぜ私がこのような見ず知らずの者を守らなければならないのですかっ!他の者に行かせてください!』


うわー・・・やっぱり私めっちゃ嫌われてる・・・。


『ゆきの境遇を全て話したのは私が最も信頼している数人に限られておる。異国の地から来て何も分からない女性をそなたはそのまま街に放り出すというのか?』


『・・・くっ、ならば、仕方ありませぬな。』


秋道さんは痛いところを突かれたらしい。


『私は玄関にいるから準備が出来次第すぐ来るのだぞ!』


秋道さんはそう言い放つと私の顔も見ずに颯爽と行ってしまった。


『心配するな。根は優しい素直な奴なのだ。仲良くしてやってくれ。』


この状態では仲良くなるどころの話しではないとは思うがとりあえず愛想笑いをしておく。


『ところで、外で何かしたい事でもあるのか?』


『したい事・・・特にある訳じゃないんですが・・・外に出たら何か気付く事もあるかもしれないと思って。』


あれから何も進展がない訳だから、自分で動き出すしかない。


『そうか、まあずっと屋敷の中だったしいい気分転換になるだろう。気を付けて行ってきなさい。』


こうして私はお出かけ用の可愛い着物を着て秋道さんと街へ向かう事になった。



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