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【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。  作者: 望月ナナコ


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71 【時継視点】

私は・・・弱くてダメな人間だな・・・。


晴れやかなこの日をまさかこのような気持ちで迎えるなど数ヶ月前までは考えもしなかった。


私は千代と夫婦になり、子をもうけ霧島家はますます繁栄していく。父上、母上亡き後それが私の宿命であり、その事に対してなんの疑問も抱かなかったし不満も無かった。そう、あの日ゆきと出会ってしまった事であるはずの未来の景色がガラリと変わってしまったのだ。


ゆきが何処へいったのか定かではない状態で今千代と祝言を挙げても私自身幸せにはなれないし千代も幸せにしてやれない。それどころか千代に失礼過ぎると思っていた。家臣や千代にどのような言葉で伝えれば良かったのだろうか・・・。


【ゆきなき今、時継様と夫婦になれるのであれば今時継様の想いが千代に無くてもこれから必ず振り向かせてみせます。】


千代からそう言われた時、強く反論出来ない自分がいた。全てを知ってまでも私と添い遂げようと覚悟をしている千代の気迫にかける言葉も無かった。


このまま千代と夫婦になっても表面上はいい夫婦として温かい家庭を作っていけるのだろう。


ゆきが見つからない今、霧島家の発展を願う全ての者に対して私が出来る事は今日無事に祝言を終える事・・・そう自分に言い聞かせていた。


『時継様、千代です。失礼致します。』


しばらく考えこんでいると部屋に千代が入ってきた。


『ああ、千代か・・・綺麗だな。』


それは心から出た言葉だった。小さき頃から一緒だった千代は顔立ちの整った近所でも評判の美人だった。そして今目の前にいる千代も温かな光に照らされより一層輝いて見えた。こんな美人と夫婦になれるというのに・・・。


『そんな・・・光栄すぎるお言葉・・・ありがとうございます。時継様、今日の祝言が無事に終わるよう精進致します。ではまた後で。』


なのに何故こんなに気持ちが曇っているのか・・・私は今一度千代とゆきの話をしようと思った。


しかし千代は挨拶を済ませると深々とお辞儀をしてあっという間に部屋を出ていってしまった。まるでこちらの話から逃れるかのように・・・千代、そなたは傷つくのも承知の上で覚悟を決めたんだな・・・ならば私はもう、何も言うまい・・・弱い私と知ってもそばにいたいというのならそれを叶えてやるのも夫になる私の役目かもしれん・・・。


快晴の眩しい太陽から逃れる為に手で光を遮った。晴れない気持ちのままいよいよ祝言を挙げる時間が近づいていた。

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