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【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。  作者: 望月ナナコ


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66 【千代視点】

あと少し・・・あと少しでやっと祝言を迎えられる。野武士からはゆきと秋道は離れの牢屋で大人しくしていると報告を受けていた。


もっと喚いたり反抗的な態度をとるかと思っていたが自分の身の丈をようやく理解したのか・・・まあよい。大人しく牢屋にいるのであればめでたい事だ。秋道と上手くやればいいじゃないか。というか秋道とゆきが結ばれてくれれば煩わしい事は全て解決するはず・・・。


祝言を数日後に控え、わらわは時継様の屋敷に戻る事にした。


『父上、母上、千代は屋敷に戻り祝言の準備に勤しみます。また当日に会いましょう!』


『わかった、道中気をつけて参るのだぞ。』


『あなたの晴れ姿を楽しみにしているわ!気をつけて!』


『はい、ありがとうございます。父上も母上も屋敷に来られる際はどうぞお気をつけて。では行って参ります!』


今のところ全てが順調だ。


大丈夫、必ず上手くやってみせる。


久しぶりに時継様に会えるという事で心が弾んだ。だが、ここで浮き足立ってはならぬ。ここがわらわにとっての正念場、そう心に唱え時継様の屋敷へと向かった。


久しぶりに帰ってきた屋敷は何も変わっていなかった・・・ゆきと秋道がいない事以外は。わらわは早速時継様の元へ急いだ。


『時継様!』


時継様は何か考え事をしているようにボーっと庭を眺めていた。相変わらず綺麗なお顔・・・聞こえなかったみたいなのでもう一度名前を呼ぶ。


『時継様!』


『・・・千代。』


『時継様、ただいま戻りました。わがままで屋敷を出てしまい申し訳ございませんでした。』


『いや・・・体調は大丈夫なのか?』


そう聞かれてそういえば体調が優れない事になっていたとふと思い出した。清々しい顔を装う。


『ええ、だいぶ良くなりました。』


『そうか・・・それはよかった・・・千代、聞いているとは思うがゆきと秋道がいなくなってしまった。思い当たる場所は手当たり次第みんなで探したのだが・・・未だ見つかっておらん。』


それは見つからない事でしょう。なんせこの近くにはいないし、使われてない離れの事などわらわの父上も母上も覚えて無かったはずですから。何をどうしたって時継様があの離れに辿り着く手立ては無いはず。


『聞いております。心配ですね・・・一体何処へ行ってしまったんでしょうか?』


ゆきのことなどどうでもよかったが適当に話を合わせた。


『二人がいなくなったのは丁度千代が屋敷から実家へと戻った日だったのだ・・・何か・・・二人の居場所に心当たりは無いか?』


時継様にそう聞かれて流石に一瞬心臓が早くなるのを感じた。いけない・・・冷静になれ。拳を強く握り痛みで動揺が少しでもましになるようにした。


『時継様、まさか千代を疑ってらっしゃるのですか?それは酷すぎます・・・わらわはあの時屋敷を出て自分の気持ちを整理するのに必死だったのですよ!二人の居場所など知るわけがないじゃないですか!』


それは本当は怒りの中に悲しみと動揺が混じった叫びだった。


『あ、ああ・・・そうだよな・・・疑ってすまない。』


でもどうやら時継様には上手く伝わったようだ。


『ゆきからしたら千代を許せないと思うかもしれませんね・・・。』


『・・・え?』


『本当ならばゆきが時継様と結ばれるはずだったのですから・・・。』


そして、そのあるはずだった悍ましい未来は私が握りつぶして差し上げます。そう思い真っ直ぐに時継様を見つめた。


『気持ちの整理はつけてまいりました。ゆきと秋道が何処に消えたのか・・・耳にした事がある落とし穴というのが知らぬ間に現れて二人共落ちてしまったのか・・・わらわには真実はわかりません。ゆきは千代を恨んでいるかも知れませんが・・・それでも構いません。千代は小さき頃から時継様、あなたを、あなただけを見てきました。ゆきなき今、時継様と夫婦になれるのであれば今時継様の想いが千代に無くてもこれから必ず振り向かせてみせます。』


時継様・・・きっと辛いのは変な夢を見させられている今だけです。時が経てば・・・ゆきの事など忘れてしまうでしょう。いえ、わらわがきっと忘れさせてみせましょう。


時継様の視線が月に向かっていた。


ああ、そういえば祝言の日は満月だったなと思った。


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