63
『ゆき、千代様は予定通り屋敷で祝言を挙げるつもりだ。』
『・・・え?祝言を?』
『そうだ。ゆきと時継様が想い想われている関係だという事はまだ二人と私と千代様しか知らん事だ。だからこそゆきが突然いなくからといって祝言は中止にはならない。屋敷の人間にとってみれば時継様が千代様と祝言をあげれば霧島家は今よりもっと繁栄するのが確約される。言いにくい事ではあるが時継様と千代様が結ばれるのというは屋敷の人間にとっては悲願なのだ。』
『そんな・・・。』
そうか・・・みんなが時継様と千代の関係を応援するであろう構図は理解していたけど・・・この状態、祝言はとりあえず中止になるものだとばかり勝手に思っていた。
千代は時継様と一緒になる事や祝言を挙げる事、諦めてないんだ。いや、諦めるはずなんてないよね・・・でもって事は今の私のこの状況は・・・。
すごく・・・まずいんじゃ・・・!
次第に事の重大さに気付き始めた私は身体中にバーっと鳥肌が立った。
『秋道さん、私、ここから出て屋敷に向かわないと!』
『ああ、だが見張りもいる事だ。まだ時間はある。これからどう動くか落ち着いて考えよう。』
そうだ見張りの人が代わる代わる私達を見張っているこの状態で簡単に逃げれるわけない。というかここがどの位置の場所で屋敷がどの方向でどれくらいで着くのか、私には検討もつかない。時継様までの距離はどのくらいあるんだろうか・・・。
自分が置かれている状況がわかったのにすぐには何も動けない現状に焦りばかりが募ってくる。
とりあえずお侍さんの状態もまだ不安定なのでその後秋道さんと交代で看病する事になった。
高熱だったお侍さんも徐々に熱が下がっていき紫の斑点も身体中に広がっていたものがみるみる引いていった。
そうして2日が経った頃・・・。
『・・・ゔ・・・んん・・・?』
私が看病している時間に寝たきりだったお侍さんがやっと目を覚ました。
『だ、大丈夫ですか!?秋道さん、目を覚ましたみたいです!!』
大声で叫ぶと秋道さんと心配していた他のお侍さんもドタドタと廊下を走ってきた。
『熱は下がったようだが・・・身体の具合はどうだ?』
『ああ・・・だいぶ良くなったみたいだ・・・。』
『そうか、それは良かった!まだ病み上がりだ。無理は禁物、ゆっくり休め。みんながいては気になるだろうから私達は一旦外に出よう。襖の外には常に誰かいる。何かあったら呼んでくれ。』
『わかった・・・かたじけない。』




