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【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。  作者: 望月ナナコ


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59 【秋道視点】

『初めてゆきが屋敷に現れたときはとても怪しい人物だと疑った目で見ていた。あの時は怒鳴ってしまって申し訳なかった・・・でも時が経ってそなたが怪しい人物などではなく普通のか弱い女性だと知った。もしかしたらもうその頃から少しずつ気になる存在になっていたのかもしれん。』


ゆきと過ごした日々が頭をよぎる。初めてゆきを見た時は本当にびっくりした。知らない女が見た事も無いような服を着て牢屋に倒れていた。時継様はすぐにゆきの足の怪我の手当てをすると言ったが時継のお命を狙う危険人物だったらどうしようかと気が気ではなかった。


しかし、一緒に街に出掛けた事でゆきに対する誤解は早々に解けた。不思議な娘だと思う一方、可愛い所がある娘だとも思っていた。


『ゆきが時継様の事を好きだという事は知っておる・・・だが、私は諦めきれんのだ。時継様は確かに完璧なお方、ゆきが惹かれるのもわかる。しかしこの世界を何も知らないゆきが千代様を差し置いて時継様と結ばれるというのはかなり難しい事なのではないか?事実、時継様は立場もあり想いはあれども今までなかなかゆきを助けに動けなかった。でも私は違う。わからないのであれば側にずっといて教えてやれる。危ない目には絶対合わせないし、もしそのような時もすぐに助けてあげられるだろう。』


『秋道さん・・・。』


思い返せばもう随分と前からゆきの事が好きだったんだと今更知る。ゆきが屋敷から最初にいなくなった時、夢中でゆきを探した。逢引などあるわけないしあってはならない、むしろあって欲しくないと思っていた。だから道に落ちているシロツメクサを発見したときは何か運命にも似たものを感じた。きっとこの道が正しいと・・・そして山小屋でゆきを見つけた時はとても嬉しかったし安心した。


『ゆきがどこから来たかなんて今の私には関係ない。どこから来たかなんてそんなのはとるにたらないことだ。これからだってゆきに何が起こるかわからないが何かあってもそれは全て受け入れよう。だから・・・時継様と一緒になるのだけはどうか考えなおしてくれないか。二人がすんなり結ばれることは周りの環境からまず考えられないし、わざわざ困難な道へゆきには進んで欲しくない。ゆきにも時継様にも苦しんで欲しくない・・・いや、逃げずに正直に言おう。二人が結ばれる姿など苦しすぎて私には見れない・・・。時継様とではなく、私と一緒になってくれないか。』


こんなに想っていたのにどうしてもっと早くゆきに伝えられなかったんだ。そして真っ直ぐにこの想いを伝えればゆきとも時継様とも今までのような関係でいられるはずがないだろう。


やっと伝えられたのはいいもののゆきからの返事が怖くて私は下に俯いた。


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