50
・・・ここは?
目覚めると全く知らない建物の中で布団に横たわっている自分がいた。
『ゆき、起きたか?・・・身体は大丈夫か?』
『・・・秋道さん!顔、怪我してるじゃないですか!大丈夫ですか?でも、とにかく無事で良かったですって痛っ。』
秋道さんの姿を見てガバッと起き上がったのはいいものの首に鈍い痛みがあった。
『無理するな。道中運びやすいように失神させられていたのだ。私もあの後必死に抵抗したんだが捕まってしまい・・・力及ばずでかたじけない。』
『何言ってるんですか!複数人で襲うなんて千代達が卑怯すぎます!謝らなきゃいけないのは私の方です。また迷惑かけちゃって・・・こんな事になるなら一人で山を登ればよかった・・・。』
『いや、そんな事は無い。ゆき一人だったらもっと酷い目にあっていたかもしれん・・・時継様の事で千代様は周りが見えなくなってしまっている。』
『・・・ここは一体どこなんでしょうか?』
『ここは千代様のご実家が所持している建物のようだ。建物の周りには常に見張りが立っている。』
『私達が逃げられないようにって事でしょうか・・・?』
『恐らくは・・・。』
時継様・・・きっと千代だけじゃなく私や秋道さんも一緒にいなくなってさぞ混乱しているに違いない。それにしても・・・こんな所に私達を閉じ込めて千代は一体どうするつもりなんだろう?
『これから・・・どうしたらいいんでしょうか・・・。』
屋敷へ戻りたいのは山々だが見張りがいる状態で抜け出すのはなかなか難しいだろう。
『秋道さん、ここからどうやって帰れるか道のりは分かりますか?』
『まあ一応分かるが・・・お屋敷まではかなり遠いぞ。馬に乗っていければかなり違うのだが・・・。』
ここはそれくらい遠い場所って事か・・・。
『ゆき、何をするにしてもお互いこの身体では辛いだろう。身体が治るまでは養生したほうがいいのではないか?それにここに大人しくいれば見張りも何も手出しはしてこないようだ。』
確かに山を登った疲れがまだとれてないのか身体もだるいし首も痛い。秋道さんも顔だけじゃなく身体にも擦り傷が多く見られた。あの時きっと必死に抵抗してくれて出来た傷だろう。これからどうするかも考えなきゃいけないし、とりあえずはこの家で休ませてもらうのもありかな・・・。
『そうですね。逃げるにしても見張りの動きを把握しなきゃですし、身体の疲れを取りつつしばらくはここで様子を見ましょう。』
・・・てことは秋道さんと二人で生活するって事になるのか・・・なんか緊張するな・・・。




