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しばらくすると秋道さんだけが小屋から出てきた。
『あっ・・・』
そしてこちらに向かってくる秋道さんの後ろから複数人の人影が突然現れた。
『秋道さん、危ないっっ!』
咄嗟に反応したのはその中の一人に見覚えがあったからだ。忘れもしない、あの顔。私を突き飛ばして怪我をさせ、小屋に放置したあの男が秋道さんに迫っていた。
不意をつかれた秋道さんは後頭部を殴られ前に倒れたけどすぐに反転して殴り返し、相手に馬乗りになっていた。
『ゆき、逃げろ!』
秋道さんは必死の形相で私に伝えてくれたけど目の前の出来事に足がすくんで走ろうにも足が動かなかった。それどころかバランスを崩してその場に尻もちをついてしまった。そしてそれに気付いた一人がこっちに向かって来て私の頭に麻袋をかけてきた。手足を紐で結ばれ拘束さた。
『やめろ!ゆきに触るな!』
距離感が掴めなかったけど建物に人がぶつかる音、地面に強く叩きつけたかのような音が聞こえた。秋道さんが戦ってくれているんだろうけど視界が塞がれて事の顛末が理解出来ない。
『秋道さん、大丈夫!?ちょっと、離してください!』
じたばたしてみたはいいものの非力な私では抵抗しようにもどうにもならなかった。
ザッ、ザッと誰かがゆっくり近づいてくる。
『哀れだな。所詮力がある者が勝つようになっておる。』
千代!?
『秋道を連れてくるとは想定外だったが・・・まあいい、連れていけ!』
『はっ!』
という掛け声と共に私はまた担ぎ上げられ身動きが取れなくなってしまった。
『ちょっとやめてください!秋道さんは!?秋道さんは無事なんですか!?私が悪いんです!秋道さんは道案内してくれただけで何も関係ありません!私はどうなってもいいから、せめて秋道さんだけでも助けてください!』
すると耳元でぞっとするような千代の声が聞こえてきた。
『黙れ。お前の言う事など誰が聞くか。いちいち耳障りな・・・生きてるだけでありがたいと思え。』
えっ!?何!?秋道さんと話があるって言っててなんでいきなり私達を襲うの!?
もしかして、千代は最初からこうする事を決めてたんじゃ・・・だとしたら秋道さんを巻き込んだのは私の責任だ。もう本当に秋道さんには迷惑かけてばっかりだ・・・うっ。
そう考えていた瞬間、首に大きな衝撃が走り目の前が真っ暗になった。
『ゆき・・・すまない・・・。』
遠くで秋道さんの声が聞こえた気がした。そんな、こちらこそ沢山迷惑かけてごめんなさい。
そう思いながら意識が途絶えた。




