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【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。  作者: 望月ナナコ


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32 【秋道視点】

それにしても何故時継様ともあろうお方がゆきとお忍びでお出かけを画策するのか・・・もしや時継様もゆきに惹かれているのか?二人の間に一体何があったのだ?


モヤモヤした感情を抱きながら私はゆきと話しに行った。疑問を持っている事に耐えられず、直球で時継様が好きなのかと聞いたら否定はするもののゆきはいささか焦っているように見えた。


時継様は完璧なお方。千代様がいるからこそ他の女性が近づいて来る事は無かったが、屋敷にも街中にも好意を持っている女性は探せばキリがないだろう。ゆきが惹かれるのも分からなくはないが・・・。


これからその話を追究しようとした途端にゆきは慌てて何処かへと走って行ってしまった。


な、もしや追究されるのが嫌で逃げたのか?


深まった疑問と共にゆきを追いかけるとそこには怯えた顔で立ち尽くしているゆきの姿があるではないか!


何事かと聞いても最初は答えずに身体を引っ張られた。急にゆきに密着された事で思わず声を荒げてしまい冷静さを保てなかった。このまま何処まで引っ張っていくつもりか・・・そう思った瞬間に今まで感じたことのない大きな突風が吹いたのだ。


まずい!


瞬時に身体が動きゆきを抱きとめて大木にぶつかった。しかしそのぶつかった痛みよりもゆきを後ろから抱きしめる形となってしまった事に自然と胸が高鳴った。腕から血が出ている事にさえゆきに言われるまで気が付かなかった。


このままもう一度後ろから抱きしめたい・・・強い欲望が頭をよぎったがなんとか理性で抑えた。 


それから手当てをしてもらい不安な顔で落とし穴の話をする彼女を見て私はたまらず頭を撫でた。この想いを伝えたら、彼女はどう反応するのだろうか?


『私はゆきに・・・ここにいて欲しいからな。』


思わず出てしまった本音に冷やっとしたがどうやらゆきには聞こえていなかったようだ。いかんいかん、落ち着くのだ。


私はゆきに元の世界には戻って欲しくない。


未だに信じられないがゆきが嘘をついているとは思えない。違う世界から来るなどというありえない事が起こったのだ。もしまた落とし穴がゆきが落ちる事を望んでいたとしても、何かそれから守る方法が必ずあるはず。なんとしてもその方法を見つけてみせる!


ゆきを布団に寝かせて優しく布団をかけてあげた。彼女は私の事をどう思っているのだろうか?それを今聞いてみるべきだろうか?少し迷った挙句とりあえず今日は一旦引くことにした。


動き出すのはまだ時期尚早だな。時継様のお考えもまだはっきりとは分かっていないのだ。だが・・・もし時継様がゆきを好いていたとしたら、私は一体どう動くべきなんだろうか?そしてその動くべき行動がちゃんと出来るのだろうか?


綺麗な満月が照らす廊下を結局来た時と同じモヤモヤとした気持ちで引き返す事となったのだった。


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