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目が覚めると同時に秋道さんとバッチリ目が合った。
『気分はどうだ?』
『秋道さん・・・私。』
『心配するな、屋敷に戻って来たぞ。熱も下がってきたようだし、もう安心だ。』
『もしかして私の事持ったまま山を降りたんですか?すみません、重かったですよね・・・。』
『気にするな、軽くてまるで子供を持っているようだったぞ。』
え、それって遠回しに幼児体形って事じゃ・・・それにしても。
『ありがとうございます。秋道さんにはいろいろと助けてもらってばっかりでなんとお礼を言ったらいいか。』
『礼などいらん。とにかく、無事でよかった。それで、一体何があったのだ?』
『・・・・・。』
正直に言ってしまっていいものか。
『・・・まあいい。言いたくないのならゆきの気持ちの整理がつくまで待とう。また何か起こるかもしれん。今後出かける時は私がなるべくゆきの近くにいるようにしよう。』
私の気持ちを汲んでか秋道さんは深く探らずに話を止めてくれた。
『まだ朝早い。もう少しゆっくり眠るといい。』
そう言って優しく布団をかけてくれて秋道さんは部屋を出て行った。私が起きるまでずっと寝ないで側にいてくれたって事・・・?
秋道さんがいなくなってから寝転びながら部屋を見渡した。なんだかんだで屋敷に戻ってきてしまった。ここにいなさいって神様が言っているんだろうか?
見慣れたこの部屋が、いつしか安心出来る場所になってしまっていたな。そんな事をしばらく考えていると突然襖が開いた。
そしてそこには今一番会いたくない人が立っていた。
『千代・・・。』
『居候の分際でわらわを呼び捨てか。本当に何から何まで気に食わない女だ・・・それにしても悪運が強いというか、何をしにこの屋敷に戻ってきたのだ?』
『何をしにって・・・。』
『言われたはずだ、他の街へ行けと。それなのにのこのこと戻ってきて。』
『やっぱり貴方の仕業だったんですか?なんでこんな酷い事を!』
『酷い?そうか?だが人様の許嫁と庭で堂々と抱き合っていたそなたもそれなりに酷い女だとは思うがな。』
『そ、それは・・・。』
み、見られてたんだ・・・でもあの日あった事を千代に正直に話してもきっと信じてはくれないだろう。
『あと1ヶ月で時継様と祝言だというのにそなたが来てからはわらわにとって災難ばかり降って来てまるで疫病神だ。必ず、必ずそなたをこの屋敷から追い出してみせる。心しておけ!!』
そう言うと私がすぐに飲めるように用意してあったお水の入った瓶を頭から思いっきりかけられた。




