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【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。  作者: 望月ナナコ


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25 【秋道視点】

なんて事だ、酷い熱があるではないか!


呼びかけに応じなくなったゆきを抱き抱え、私は急いで小屋を出た。初めて抱えたゆきの身体はまるで子供のように軽かった。たった一晩でもこの場所に一人でどれだけ心細かったであろう。


少し着物がはだけた脚から青いあざが見えている。


くそっ、ゆきが不審者だと思わなくなってから監視するのを辞めてしまった。気を抜かずに見ていてやればこのような目に合う事は避けられたのかもしれない。


一体ゆきの身に何が起こったのかはわからんがただ転んだだけでこのようなあざが出来るものなのだろうか?消えた千代様のお付きが何か知っているのだろうが・・・いずれにしても。何者かがゆきを攫って小屋に遺棄したのは間違いない。罪もないゆきにこのような仕打ちをした者がいるのであればそれは到底許せない。いつか私が必ず仇をとってやる!


だから・・・ゆき、あとちょっとの辛抱だ。頑張るのだ!


記憶をたよりに急いで山道を降りて無事に屋敷に着く頃にはすっかり日が落ちて夜になっていた。


『ただいま帰った!ゆきが大変だ、すぐに医者を呼んでくれ!!』


屋敷の手伝いにそう話していると奥から時継様と千代様が現れた。


『ゆきっっ!見つかったのか!?』


『ま、まあっ!一体どうしたというのですか!?』


『ゆきが熱を出してしまい、怪我もしております。詳しい話は後で。とにかくゆきを部屋へ運びます!』


医者によると手足の他に腹部にも大きなあざがあったらしい。普通に生活していて出来るあざとは思えずこれについては誰かに殴られた可能性が極めて高いという事だった。それを聞いて私も時継様も激昂したが近くにいた千代様になんとか宥められた。


ゆき・・・目の前には熱に魘されて苦しんでいる彼女がいる。どうやらゆきの周りには不穏な影が渦巻いているようだ。それが今回の事でよくわかった・・・ならば。


私が、ゆきを守ろう。


初めて会った時はなんて不審な女だと思っていた。でもあの日一日一緒に過ごしたことでゆきが天真爛漫な普通の女性だという事がよくわかったのだ。違う世界から来たという話は正直私にはよく分からない。それでもゆきが家臣と逢引きなどは絶対に無いと思えたし、自分でも驚くくらい無我夢中で山登りをしてゆきを探していた。

 

熱は出ているが命に別状はないだろうと医者は言っていた。私はゆきの手をぎゅっと握り、もう一度会えてよかった、そう自然と考えていた。


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