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次の日から少しずつ時間があれば屋敷の掃除などを手伝うようになった。
時継様はそんな事しなくていいと言ってくれたけど身体を動かしていないとマイナスな事ばかり考えてしまう。
時継様への気持ちに気付いてからは会うたびに緊張してしまうようになってしまった。向こうはなんとも思ってないんだから普通にしとけばいいのに。それでも意識してしまってなかなか普通に接する事が今はかなり難しい。
はぁー・・・。
変に気を遣いすぎてため息をついた時だった。
『おい、ゆきとやら・・・。』
見上げると突然千代から私に話しかけてきた。どういう風の吹き回しだろうか。紅い花の綺麗な装飾が付いた割れたかんざしを目の前に出された。
『大切にしていたかんざしが割れてしまったのだ・・・明日の食事会につけようと思っていたのに・・・わらわは今日用事がある、お金は渡すのでこれと似たような感じのかんざしを街で探して買ってきてくれないだろうか?』
え、なんで私に?かんざしくらい千代だったら他のものも沢山持っているでしょうに・・・とは思ったけど気晴らしに街に出かける理由には丁度いいのかもしれない。
『・・・わかりました。』
『そうか、感謝する・・・一応そなたに何かあってはいけないのでわらわのお付きを一人付けるようにしよう。』
そう言って千代の後ろから一人のお侍さんが現れた。
・・・見た事ない人だな・・・でもお侍さんなんてこの屋敷には沢山いるし、私が知らないだけだよね。
『宜しくお願い致します。』
目を合わせると軽く会釈された。それからすぐに支度をして街に出る。お侍さんは何も言わずに後ろから着いてきてくれているようだ。無口な人なのかな・・・まあでも一人じゃないっていうだけ安心だ。また泥棒とかに出くわしてしまったら私一人ではどうしようも出来ない。
何件かお店を見て回って割れたかんざしとよく似たデザインのかんざしを見つける事が出来た。これなら千代も気に入ってくれるだろう。
目的は達成したので後は帰るだけだ。帰りに川原を見ると変わらずシロツメクサが沢山咲いている。そういえば時継様は秋道さんに渡したシロツメクサの腕輪が気になったようで自分にも作ってくれって言ってたな。
そう思って川原に行きあの時と同じようにシロツメクサを編む。今日は時間があったのでしっかりシロツメクサの首飾りを完成する事が出来た。
『あ・・・すみません、大変お待たせしました。では屋敷に戻りましょう。』
夢中になって作ったはいいけど話もせずにだいぶお侍さんを待たせてしまった。悪い事してしまったな・・・。そう思っているとお侍さんが急に口を開く。
『少し、茶屋で休憩していきませんか?』
待たせてしまってお侍さんも疲れたのだろう。罪悪感でいっぱいだったので言われるがままお侍さんについていくことにした。どんどんどんどん街から離れ人気がない場所へと歩いて行く。
『こちらです。』
やっと案内されたその建物はお店というよりは民家だけど・・・。




