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【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。  作者: 望月ナナコ


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時継様が部屋まで送ってくれて私はとりあえず布団に横になった。


抱きしめられた感覚がまだ身体に残っている。時継様の胸の中にいた時とても優しい温もりを感じてしまった。そう思うといてもたってもいられなくなってギュッと布団に抱きついた。


何考えてるんだろうか私は。さっきまで青い光と落とし穴の恐怖にビクビクしていたというのに。


考えてみれば時継様にはお姫様抱っこしてもらったり寄りかかってお地蔵さんまで案内してもらったり今考えると恥ずかしい事ばかりしてもらっていた。


穴があったら入りたい。


今度は布団の中にガバッと潜り込んだ。


落ち着け、私。この状態で恋なんてしてどうするんだ!しかも相手は婚約者持ち、これからどうにかなんてなるわけないんだから。それに時継様は私の事なんてなんとも思ってないはずだ。一人ぼっちの私が可哀想だからいろいろ優しくしてくれているんだろう。


好きになればなる程傷つく事がわかっている恋なんてこんなに悲しいものはない。


そう考えるとこれから時継様にはあんまり関わらないようにしていかないとな・・・それにしても。


あの青い光がまた現れてくれる事はあるんだろうか?何かのきっかけがあって現れたのだとしたらそのきっかけは一体なんなんだろうか?


今日・・・特別な事なんてあったっけ?


考えてみても特に頭には何も浮かんでこない。いずれにせよ私がこの世界に来た事象にあのお地蔵さんは必ず何か関わっている。確信が持てただけでも一歩前進ではある。これから、どうなってしまうんだろうか・・・一日でいろいろありすぎて疲れた私はそのまま卒倒するように眠りについた。


◇ ◇ ◇


『君、この締切は急遽明日になったから。宜しく頼むよ。』


懐かしい会社の風景。上司は日常的に無謀な仕事を次々と私に振ってきた。


『あ、はい。かしこまりました・・・。』


ああ、また残業確定。せっかく今日は定時に帰れそうだったのに。


非正規で生活が苦しい人も多い中で私は正社員として雇われ責任ある仕事も任されていた。


多少の無理は当たり前。自分は恵まれている。そう思っていないと自分自身が保てなかった。休みの日も仕事の事を考えてしまい、ずっとずっと年中仕事に縛られている気がして心が休まる暇が無かった。


そんな中で本当は少しずつ精神をすり減らしていたんだ。それでも生きていかなくちゃいけなかったから無理ですとか辞めたいとか口に出す事は出来なかった。


はっと翌朝目が覚めた時瞳から涙が溢れていた・・・夢か。


苦しかった夢を見た事で神社で悩んでいた事に一つの答えが見つかった。ああ・・・帰りたくないな、元の世界には。


もしいつか帰らなきゃいけない時が来たとしても、もう少しだけはこの世界にいたい。


そう強く思った。

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