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召喚先で訳もわからず異文化交流  作者: 凪野 凪子
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プロローグ

はじめまして、はじめての投稿となります。

これまで小説を書く経験がないので拙い文章となりますが、楽しく読んでいただけると嬉しいです!よろしくお願いします。

 木村葵は冷たい感触に目を覚ますと、見知らぬ建物の広間の石材性の床に横たわっていた。ゆっくりと上半身を起こしてまわりを見渡すと、西洋風のデザインの建物であることがわかった。広間には誰もおらず、シンと静寂に包まれている。


「寒い…ここはどこなんだろ」


 何故ここにいるのか記憶がない。葵は15歳になったばかりの中学3年生。自宅で受験勉強をしたのちベッドで眠りについたのが最後の記憶である。とりあえず、この広間から外に出てみることにした。木製の大きな扉を押してみると、左右に長い廊下が続いていた。人の姿はない。


「困ったな…どうしよう」


 ひとまず、自分の最後の記憶を思い出そうとしてみたがこんなところに来た覚えはまるでない。自分を見てみると、いつも着ているパイル生地のワンピースにグレーのレギンス姿に裸足だった。


「夢かな…」


 それにしては、裸足に感じる床の冷たさはリアリティがあった。

 夢ならばそのうち醒めるだろうと、廊下の右側へ歩いてみることにした。50mほど進むと階段があり、下に降りてみることにした。外に続くと思われる木製の大きな扉があり、その横に守衛室のような部屋があった。小部屋の扉が半分ほど空いており、そっと中を伺うと男が二人何か焦ったように話している。


(…?!…外国人)


 なにを話しているのかまではわからないが、欧米人のような彼らは、何やら昔の映画に出てくるような古めかしい格好をしている。


(結婚式の牧師さんみたい…ここは教会なのかな)


「…あのぅ……すみっ……?!」


 小部屋の中の人間に声をかけようとした時、後ろから服を引っ張られた。驚いて振り返ると中学に上がるか上がらないかくらいの少年と少女が焦った様子で葵を見上げていた。なにやら小声で一生懸命に訴えているが、言語がわからない。葵がポカンとしていると、じれたように少年が葵の手を取り、少女が葵の肩を抑えて屈ませて小部屋の前を中腰で通り過ぎて扉を静かに開けて、こっそりと外に出された。二人の少年少女はそのまま葵の手を引いて走り出した。


「…え!?…どこに行くの??」


 少女は自分の口元に人差し指をたてて振り返った。その表情は切実さがあり、葵はとりあえず黙ってついていくことにした。林を抜けると小さな物置小屋があり、葵はそこに押し込まれた。


 三人は物置小屋の中でしばらく上がった息を整えた。葵は小屋の床にしゃがみ込み、二人を見上げた。少年少女は二人とも白いカフタンワンピースのような裾の長い上着に白いズボンを履いていた。二人とも神はアッシュブラウンでヘーゼルの瞳、顔立ちは非常によく似ていた。


「…双子?」


 少年少女は困った表情で顔を見合わせた。

 そして、意を決したように少年は右手を胸に当てて片膝をつき頭を下げた。少女もその横で慌てて両膝をつき頭を下げる。少年が何か喋っているが言語がわからない。とりあえず、ふたりの肩に手を置いて顔を上げさせた。


 少年が困惑しながらも自分の胸に手を当てて、「カイル」と言い、隣の少女を指して「エマ」と言った。どうやら名前を名乗っているようだと察した葵は自分の胸に手を当てて、


「あおい」


 と言うと、少年があおいと呟いた。葵も少年を指してカイル、少女を指してエマと呟くと二人は同時に口元に弧を描き、ホッとしたように微笑んだ。その時、小屋の外から声がした。カイルとエマはハッとして、カイルは身振り手振りで葵を押し留めるような仕草をし、エマは口元に人差し指をたてる仕草をして、慌てて小屋を出て行った。


「ここにいろってこと…?」


 小屋に一人残された葵は、訳が分からなかったがとりあえず二人がまた来てくれることを願ってそのまま物置小屋に留まることにした。



 ***



 カイルとエマは、慌てて神殿に戻ると何もなかったかの表情を作ることに努めて、二人で廊下を歩いた。そこに、同じ神官見習いのトムがやってきた。


「おい、カイル、エマ。どこ行ってたんだよ」


「いや、エマが母さんのネックレスを落としたから庭で一緒に探してたんだ」


 カイルは平静を装って答えると、エマに話を合わせるように、と視線を送った。エマは慌てて、


「…そ、そうなの!見つかってよかったぁ」


 と、服の下から青い石のついたネックレスを出してトムに見せた。エマは、声が上ずってしまったのでドキドキしながら笑顔を貼り付けた。トムは特に気にする様子もなく、


「何かあったみたいで神官達が慌てて何か探してるんだ。俺たち見習いは大広間に集まれって言われてさ、お前たちを探してるとこだったんだよ」


 カイルとエマの心中に緊張が走ったが、勤めて平静を装った。


「何かあったのか?」


「俺は直接みてないんだけど、他の見習いが神殿の屋根から青白い光の柱が見えたって言ってた」


 カイルとエマはギクリとしながら、


「青白い光の柱…??」


 とエマが聞き返した。トムは二人の様子に気付く様子もなく、


「そう、エリオットが言うには、誰かが神殿内で魔法陣を使ったんじゃないかって」


「魔法陣??」


「神官達の慌てようをみると、違法につかわれたのかもしれない」


「…違法に…」


 カイルとエマは背中に汗が垂れるのを感じながら、トムと共に大広間に入った。広間の中には神官見習いが30名ほど集まっていた。見習い達の最後尾に三人が並ぶとしばらくして、神官長が広間に入ってきた。ざわついていた、広間がシンと静まり返り、皆の前に神官長が足を止めて一人一人の顔を見渡した。


「…もうすでに噂を耳にした者もいるだろうが、先程当神殿にて魔法陣が使用された形跡があった」


 広間に集められた者たちが一様に息を呑んだのがわかった。カイルとエマの心臓は早鐘のようにバクバクと心拍数が上がり、自分たちの手のひらが汗でじっとりしているのを感じた。エマはチラリとカイルを見たが、カイルは無表情を張り付けてエマに見向きもしないふりをしている。カイルの気配がこちらを見るな、と物語っているようでエマも無表情になるように努めて前を向いた。


「皆も知っていると思うが、魔法陣を使用するのは国からの指令がない限りは、違法とみなし罰せられる決まりとなっている」


 神官長は一人の表情の変化も見逃さないように鋭い視線で全体をくまなく見渡しながらそう言った。


「…この中で何か普段と違う物事や人物を見聞きしたものがいれば、無闇に喋らず後程私の部屋まで報告にくるように。」


 しばらくすると、神官長は広間を出て行った。

 すると、数人の神官見習いが緊張した面持ちで広間から出ていくのが見えた。その中に同い年のエリオットもいる。

 カイルの隣にいたトムが小声で口を開いた。


「…今出て行ったアルベルトも光の柱を見たらしい。興奮しながらみんなに言いふらしてた。…それにしても魔法陣なんて、どこかに転移したのか何か召喚したのかな?」


「さぁ、なんだろうな。でも、俺たちは何も見てないしな?」


 カイルはエマに話しかけた。エマは慌てて、


「うん、ネックレスを探して下ばっかり見てたから。私もみてみたかったな」


 と相槌をうった。トムもうなづいて、


「俺も見てみたかったな。前回の儀式は20年くらい前だろ?ま、でも正式な儀式じゃないし、なんなんだろうな…あとでエリオットに詳しく聞いてみよう」


とトムは広間から出て行く神官見習いの少年少女達の後に続いた。カイルとエマもその後に続く。

 エマは小さな声で、


「…誰にも見られなかったかな?」


「…エマ、話は後だ」


 カイルはエマを制して、部屋へ戻るように促した。



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