最終話 青春は続く――
このまま放置は小生のためにも、私にもよくないと思って最終話とさせていただきます。
後書きも読んでもらえると嬉しいです
小生の人生はどこで狂ったのであろう?
ハロウィンの日の次の休みには花殿とメイちゃんとで映画に行き、今日は文化祭をまわる約束をしている。
「よ! 小生君。おはよ、今日はよろしくね!」
「はわわ、こちらこそよろしくであります」
「相変わらず、おもしろい反応だね! 適当にぶらつこ!」
朝のホームルームが終わり各々自由になったとたん、花殿が小生の前に来たでござる。
「うん、行くでござるか」
自分のクラスは展示だけなので、とくにすることがないので今日はずっと遊べるでござるな。
花殿と中庭に出て、屋台を見て回る。
「あ、小生君。缶落としあるよ、やろ、やろ」
花殿がそう言って腕を引っ張ってきた。
「お、いらしゃい。三球五百円! 全部落とせば豪華景品だよ!」
店番の人がそう声をかけてくる。
「景品……屋台フリーパス? これはもしかしてどこでも使えるのでござるか?」
「おう、飲食系の店であればどこで一日使えるぜ」
「凄い豪勢だね! やろやろ」
花殿はお金を渡して、球を受け取る。
缶の数は十個で、棚の上から落とすルールのようでござるな。
「花殿、ファイトでござる」
花殿の活躍を見守ることにき腕を組んで後ろに立つ。
「えい、あれ? おりゃ! あれれ? 当たんない~」
花殿の球はかするどころか、明後日の方向に飛んでいく。
「ラスト、力まずやるでござるよ~」
「もう、小生君。やって、マジ無理」
花殿が球を押し付けてくる。
「む~」
「お、彼氏さん。カッコいいところ見せる時だぞ!」
店番の人が煽ってくる。
「小生は彼氏ではないでござる~」
狙いを定めて、投げつけた。
小生の力では全部倒すことは無理だと思っていたが、いい感じに球が当たり、全ての缶が下に落ちた。
「……」
「す、すごいよ、小生君!」
店番がうつむいてしまう中、花殿が抱きついてそう言ってきた。
「ちょ、ちょ、近いでござるよ! 落ち着くでござる」
「くぅ、もってけ、泥棒」
店番の人が誓約書と書かれた紙をくれた。
どうやら倒されないのが前提だったようでござるな。
無料とはいえ、食べるのには限界はあるでござるからな……。
何を食べるか考えているとまた、花殿が手を引っ張ってきた。
「小生君、売り切れる前に全部回るわよ!」
こうして花殿に急かされるままに食べ物を買い続けるのだった。
・・・・・・・・・・
屋上に出て、買ったものを並べる。
焼きそば、から揚げ、わたあめ、かき氷。
他にもたくさんある。 買いながらも展示なんかを見て楽しく過ごせたでござるけど……。
「いや~ 買ったね! 食べよ、食べよ」
りんご飴を齧りながら校庭を見ろしていた花殿がそう言って、ドアの側に座っていた小生の所に来たでござる。
「はい……」
小生はどうしても言いたいこと聞きたいことがあって、ぼおっとした状態で話しながら食べ進めていく。
「もう、どうしてそんなにぼうっとしてるのよ? まだやっぱりまひるの事が好きなの?」
唐突にまひる殿のことを言われて、驚く。
「え? 小生は別に、そんなの事、それに小生は別に好きな人がいるでござるし」
「え? あ、そうなんだ……」
何故か花殿は声を落として、うつむく。
「どうしたでござるか? あ、この唐揚げ美味しいでござるよ」
串を一つ差し出して、空気を換えようと試みる。
「ねぇ、その好きな人って聞いてもいい?――」
一番聞かれたくなかったことを聞かれてしまった。
もう終わりでござるか……。
小生は立ち上がって、フェンスの側にいく。
「小生君?」
小生の行動に不思議そうに受け取った唐揚げを持ったまま花殿は聞いてくる。
「花殿、小生はオタクでござる。オタクに優しいギャルはいないと思っていたでござるが、どうやらそうではないと思い始めたでござる。それは! 花殿のおかげで、どうやら小生はその、花殿ののことが好きになってしまったようでござる」
精一杯の声を振り絞って、花殿に今の気持ちを伝えた。
恐る恐る花殿の顔を見る。
驚いたように目を見開いて、なぜか涙を流している。
やっぱり気持ち悪いでござるよな……。
小生みたいなオタクが勘違いして、もう二度とこういうやり取りはできないでござろうけど、いい思い出になったでござる。
小生は花殿に背を向けて、校庭を見下ろす。
小生の体に小さな衝撃が走った。
「嬉しい、嬉しい……」
花殿の声が耳元で聞こえる。
「え?」
「まひるの事が好きだから、私に事は見てもらえないって、思ってた……。私も好き、小生が、ううん、
山田の事が好き!!」
「花殿……」
その言葉に我慢していたものがあふれてしまう。
屋上に二人の泣き声が響く。
格好の付かない告白。
だけどたぶん、小生は今人生で一番幸せ者だ。
・・・・・・・・・・
「おはよ、小生!」
「花殿! とメイちゃん? おはようでござる」
「お姉ちゃんだけずるいからね、小生と私も遊ぶの」
「もう、ごめんね?」
付き合い始めてしばらく経った休日、デートの待ち合わせ場所に花殿とメイちゃんがやって来た。
「謝ることはないでござるよ! 三人で遊ぶでござる」
「さすが小生、好き~」
メイちゃんが左足に抱きついてくる。
「あ、ずるい! 私の方が好きだもん!」
花殿がそう言って、右腕を組んできた。
青春してるでござるな……。
小生はそう思いながら、二人にこの後の何処に向かうかを笑いながら話すのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!青春は滝のようにあふれているのですが、書く内容がまとまらず、更新できずにいました。これからも短編を中心になろう様での活動は続けます! 公募用とその練習っていうとあれですがな、連載はしていきますので応援してもらえると嬉しいです。また、カリブたんは気ままに書いていますので、そちらも読んでもらえると嬉しいです。最後に旧Twitter現在Ⅹの方を見て、フォローしていただけると嬉しいです。更新情報、新作はそちらで宣伝していますのでぜひよろしくお願いします